研究課題/領域番号 |
25460115
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
久保田 高明 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (60399954)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 海洋生物 / 生物活性天然物 / アルカロイド / トリパノソーマ |
研究概要 |
中南米およびアフリカを中心に大きな問題となっているトリパノソーマ症は、今後、世界的な脅威になることが危惧されているが、現在のところ安全で有効な治療薬の開発が十分に行われていない。本研究では、トリパノソーマ症治療薬の素材としてあまり注目されていない海洋生物に焦点をあて、海洋生物(海綿、ホヤ、海洋由来真菌、渦鞭毛藻など)より、トリパノソーマ原虫に特異的に作用する毒性の少ない新しいタイプのトリパノソーマ症治療薬の開発につながる生物活性物質の発見を目的として研究を行った。 その結果、Spongiidae科の海綿より新規メロテルペノイドのナキジキノンSおよびナキジキノールC、タウリンをユニットに含む新規アセチレン脂肪酸誘導体のタウロスポンジンBおよびCを、Agelas属の海綿より新規ブロモピロールイミダゾールアルカロイドのナゲラミドIおよび2,2'-デブロモナゲラミドBを、それぞれ単離、構造決定した。 ナキジキノンSは4種の細菌(E. coli、S. aureus、B. subtilis、M. luteus)および3種の真菌(A. niger 、T. mentagrophytes、C. albicans)に対して抗菌活性を、ナキジキノールCは2種の細菌(S. aureus、M. luteus)および4種の真菌(A. niger、T. mentagrophytes、C. albicans、C. neoformans)に対して抗菌活性を、タウロスポンジンCはC. albicansに対して抗真菌活性を示すことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海洋天然物ライブラリーを拡張するため、広範な海洋生物を素材として新たな生物活性物質の探索を行い、研究実績の概要に記載した化合物を含め、海綿動物から9個、渦鞭毛藻から6個の新規化合物を単離、構造決定することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
広範な海洋生物を素材として新たな生物活性物質の探索を継続して行うとともに、海洋天然物ライブラリーのうち、アルカロイドを中心にトリパノソーマ原虫に対する活性を評価し、構造活性相関を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
トリパノソーマ原虫を用いた活性評価が行えなかったため。 トリパノソーマ原虫を用いた活性評価を行い、平成26年度請求額と合わせて、ほぼ計画通りに使用する。
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