研究概要 |
以前行った予備的栄養飢餓選択的毒性スクリーニングで活性を示した生薬の中から24生薬(延命草,黄柏,乾漆,胡ズイ子,牛蒡子,胡麻子,益母草,紫苑,紫河車,地骨皮,蛇苺,松香,水紅花子,水蛭,石松子,仙鶴草,穿心蓮,竹節人参,猪苓,独活,半枝蓮,白朮,枇杷葉,木通)を選び,膵臓がん細胞(PANC-1,PSN-1)に対する細胞毒性を富栄養培地と栄養欠乏培地において比較した。結果,PANC-1細胞に対しては「延命草(PC50, 35.1 μg/mL)」「黄柏(PC50, 38.1 μg/mL)」「石松子(PC50, 36.3 μg/mL)」「仙鶴草(PC50, 59.2 μg/mL)」「穿心蓮(PC50, 9.72 μg/mL)」「竹節人参(PC50, 37.0 μg/mL)」「猪苓(PC50, 69.0 μg/mL)」が「牛蒡子(PC50, 71.7 μg/mL)」よりも強い栄養飢餓選択的細胞毒性を示し,PSN-1 細胞に対しては「延命草(PC50, 43.0 μg/mL)」「黄柏(PC50, 41.6 μg/mL)」「石松子(PC50, 17.9 μg/mL)」「穿心蓮(PC50, 9.41 μg/mL)」「竹節人参(PC50, 36.6 μg/mL)」「猪苓(PC50, 54.2 μg/mL)」が「牛蒡子(PC50, 78.1 μg/mL)」よりも強い栄養飢餓選択的細胞毒性を示した。これらの生薬の多くのものがアポトーシス様の細胞死を誘導していることが,エチジウムブロミド/アクリジンオレンジによる二重染色実験によって認められた。 活性生薬の中で,最も強い栄養飢餓選択的細胞毒性を示した「穿心蓮」について成分分離を行い,数化合物の単離に成功している。今後これらの構造を明らかにするとともに活性を測定し,活性成分を同定していく予定である。
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