研究課題/領域番号 |
25460126
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
梅原 薫 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (40185070)
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研究分担者 |
関田 節子 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (90171339)
安元 加奈未 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (70412393)
鈴木 隆 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (20240947)
左 一八 会津大学短期大学部, その他部局等, 教授 (20260226)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 熱帯風土病 / デング熱 / リーシュマニア / 薬用植物 / フラボノイド |
研究実績の概要 |
1 型デングウィルスエンベロープタンパク質に親和性を示しウイルス感染抑制に働く化合物を、in silico で分子設計し、その効果をin vitro で確認した (BBRC, 2014, 449, 32-37)。タイ薬用植物 Dalbergia parviflora から分離した 67 種のイソフラボノイドを用いた、2 型デングウィルスプロテアーゼに対する in silico スクリーニング及び in vitro ウィルス感染阻害作用から、cajanin, medicarpin などに強い作用の有る事を見いだした。Cajanin がウィルス感染に関わるホスト側因子 alpha-glucosidase も阻害する多彩な作用機構を有する可能性が示唆され、medicarpin のネッタイシマカ殺幼虫作用から、これを宿主とする黄熱病、チクングニア熱に対する有効性が期待されることを、国際ポリフェノール会議 (2014 ICP) 等で報告すると共に専門誌に投稿中である。また、ウィルス複製に関与する alpha glucosidase 阻害作用を、抗デング熱作用物質一次スクリーニングとして導入した。 一方、民間伝承的に抗リーシュマニア症に用いられるパパイヤ科植物より、高極性なピペリジンアルカロイドを分離し、その抗リーシュマニア作用を日本薬学会第135年会にて報告した。In vitro 抗リーシュマニア作用スクリーニングの結果、バングラデシュ薬用植物 Avicennia marina に強い活性を見いだし、同エキスから芳香族化合物分離に成功した成果を日本薬学会第135年会にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タイ国政情の影響を受けて同国薬用植物エキスの確保が滞っていたが再開出来た。また、バングラデシュの薬用植物エキスの入手ルートが新たに確保できたことで、スクリーニングに供給する試料が十分確保出来る見込みがついた。バングラデシュ薬用植物に抗リーシュマニア活性を認め、同エキス中の成分分離に着手したところ、学会発表に見合う成果が得られる等、抗リーシュマニア薬資源としてバングラデシュ薬用植物が思いのほか有望である事が見いだされた。 スクリーニングの結果、抗デング熱、抗リーシュマニア症の何れにも効果を示すエキスの存在が明らかとなり、成分分離が進行中である。両疾患に有効な薬剤はこれまでに存在しない事から、新しいタイプの治療薬リードに繋がることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
抗リーシュマニア原虫作用を示したバングラデシュ薬用植物 Avicennia marina 中の有用成分の分離を引き続き行う。デング熱、リーシュマニア症の何れにも効果が期待されるタイ薬用植物 Diospyros mollis 中の成分分離に着手する。両エキスから得られた成分について、共同研究者の協力を仰ぎ、抗デング熱ならびに抗リーシュマニア活性評価を行い、学会発表や専門誌への投稿を目指すと共に、構造活性相関を検討し、新規治療薬リードに繋げる事を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者 関田節子教授の健康上の理由に因る、年度途中での退職に伴う返還。
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次年度使用額の使用計画 |
関田教授と役割分担が同一の安元博士の分担研究費とする。
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