研究課題
基盤研究(C)
配糖体合成に用いる糖転移酵素ライブラリーを拡張するためのcDNAクローニングを実施し、クチナシからアポカロチノイドを基質とするglucosyltransferaseとイリドイドを基質とするglucosyltransferaseを、ニチニチソウからイリドイドを基質とするglucosyltransferaseを得ることに成功した。また、センブリとイチゴからそれぞれセコイリドイドとフラノクマリンを基質とするglucosyltransferaseを得ることを目的に実験を行い、現在までにいくつかの候補クローンを得ており、これらの機能解析を実施中である。さらに、クチナシから得ているglucosyltransferaseとその上流の反応を組み合せることにより、キサントフィルからアポカロチノイド配糖体に至る反応を酵素合成する系の確立に向けた検討を実施し、現在までにキサントフィルの酸化的開裂反応産物から最終配糖体までの酵素合成に成功している。今後、最初の開裂反応を触媒する酵素をクローニングすることによって、非天然型アポカロチノイド配糖体の酵素合成が可能になるものと期待される。現在、これまでにクローニングした糖転移酵素を利用して各種の配糖体の酵素合成を遂行中である。
2: おおむね順調に進展している
本研究の推進には、種々の天然機能性物質を配糖化できる糖転移酵素をそろえることが前提として必要であるが、平成25年度の研究でこの部分が基本的に達成できている。
研究は順調に進行しており、予定通り下記の計画に従って研究を推進する。これまでにクローニングした糖転移酵素の組み換えタンパク質を調製し、研究のターゲットとしているケルセチン、クルクミン、レスベラトロール、クロセチンの種々の位置にグルコースを抱合した配糖体を酵素合成する。ヒト小腸由来細胞からlactose-phlorizin hydrolase(LPH)のcDNAをクローニングする。組み換えLPHと酵素合成した各種配糖体を反応させ、LPHの基質特異性を明らかにする。並行して、各種配糖体の消化管吸収性を検討し、消化管吸収性とLPHによる加水分解の受けやすさの関係を明らかにする。
糖転移酵素の遺伝子クローニングが順調に進行したため、消耗品費の使用が計画以下で済んだ。また、研究代表者が3月末で研究機関を移動したため、1月から3月にかけての学会等での出張が困難であったため、旅費の支出が計画を下回った。酵素合成した配糖体の精製のために、従来の予定になかったprepatarive HPLC法を導入し、そのためのpreparative columnの購入に当てるとともに、学会等での発表をより積極的におこなうための旅費支出の増額分に充当する。
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