研究課題
最終年度も継続し、重篤な真菌症を引き起こす病原真菌カンジダ・アルビカンスのカイコ感染モデル (以下、カイコ評価系とする) を利用し、新規抗真菌剤のリードを微生物の培養液中に求めた。培養液約 7,000 サンプルについて、まずペーパーディスク法でカンジダのみに生育阻止円を示す培養液を選択し、さらにカイコ評価系においてその治療効果 (延命効果) を調べた。その結果、細胞毒性を示さずに治療効果を示すサンプルを3サンプル取得した。これらについては、現在活性成分の単離精製を継続している。昨年度、作用点を明らかにした新規物質 simplifungin については、様々なモッシャー試薬を用いた誘導体化によって、3 箇所全ての立体化学を明らかした。同様に、真菌 Valsaceae sp. KFH-53 が生産する新規物質valsafunginについても、2 箇所の立体化学を明らかにした。また valsafungin については作用点の解析を行い、simplifunginと同じスフィンゴリン脂質生合成過程の酵素セリン-パルミトイル転移酵素を阻害することを明らかにした。さらに誘導体合成の過程で、simplifungin のカルボン酸メチル体が強い抗カンジダ活性 (MIC; 0.25 µg/mL) を示すことを明らかにした。今後、本化合物のカイコ評価系での治療効果を確認し、結果が良好であればマウスを用いた感染実験を実施し、抗真菌薬のシードの可能性を見極めたいと考えている。次に昨年度発見した未同定真菌BF-0158株が生産する新規物質 shodoamide 類は、アムホテリシン B の活性増強作用を示すことを明らかにし、これまでに4成分を取得している。本化合物については今後、詳細な抗真菌スペクトルの測定およびカイコ評価系での治療効果等を調べ、創薬シードを目指した誘導体合成へと展開する予定である。
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Drug Discoveries & Therapeutics
巻: 10 ページ: 44-48
10.5582/ddt.2016.01013
http://www.pharm.kitasato-u.ac.jp/microbchem/wei_sheng_wu_yao_pin_zhi_zao_xue/Welcome.html