研究課題
本研究の目的は身近にあり、手軽にしかも大量に入手可能なリンゴ葉からの生物活性成分を探索し、疾病治療および疾病予防のための創薬シーズを見つけることである。平成26、27年度においては、リンゴ葉メタノール(MeOH)抽出物のHP-20カラムクロマトグラフィー70%MeOH溶出画分からフロレチン、イカリシドC2やC3、ケンフェリン並びにケルセチンを単離、同定し、生物活性を検討した。そこで、今年度においては、HP-20カラムクロマトグラフィー50%MeOH溶出画分から新規生理活性物質の分離をこころみた。その結果、各種カラムクロマトグラフィーを繰り返しおこなうことで、シエボルジン、トリロバチン、オウレオシジングリコシド、ロセオシド並びにボミフォリオールの単離と同定に成功した。シエボルジンはアセチルコリン(ACh)によるウシ副腎髄質細胞からのカテコールアミン(CA)分泌を比較的強く抑制したが、これに比べ電位依存性Ca2+チャネルを活性化するhigh K+刺激によるCA分泌に対する抑制効果は弱かった。これはシエボルジンがニコチン性ACh受容体に拮抗してCA分泌を抑えていることを示している。しかしその他の成分はAChによるCA分泌には影響しなかった。副腎から分泌されたCAとコルチゾルは普段、体の恒常性維持に働いているホルモンである。ストレスが体に負荷されるとこれらホルモンが大量に分泌され、ストレスに対抗する。しかしストレスが強く、長期間に渡るとストレスホルモンが過剰に分泌され、各組織の障害を招き、病気の発症へとつながる。今回、リンゴ葉から得られたイカリシドC3やケンフェロールがストレスホルモンの分泌を抑制したことは、これら成分及びリンゴ葉が抗ストレス活性を有していと考えられる。
すべて 2016 2015
すべて 学会発表 (5件)