研究課題/領域番号 |
25460138
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
内山 武人 日本大学, 薬学部, 准教授 (90261172)
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研究分担者 |
田畑 恵市 日本大学, 薬学部, 准教授 (30366629) [辞退]
鈴木 孝 日本大学, 薬学部, 教授 (40318457)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 1,5-アンヒドロアルジトール / 1,5-アンヒドログルシトール / グルコシダーゼ阻害 / グリコーゲンホスホリラーゼ b / マルチグラム合成 |
研究実績の概要 |
無保護糖より対応する1,5-アンヒドロアルジトールを簡便に調製する方法を前年度に確立できたので、本年度は調製された各種1,5-アンヒドロアルジトール類について、グリコーゲン分解酵素の一つであるグリコーゲンホスホリラーゼ b 阻害活性、α‐およびβ‐グルコシダーゼ阻害活性について検討をおこなった。興味深いことにグリコーゲンホスホリラーゼ b 阻害活性は1,5-アンヒドログルシトール以外には認められなかった。この結果は、グリコーゲンホスホリラーゼ b が糖の構造におけるヒドロキシ基の立体配置を厳密に識別していることを示唆している。一方、グルコシダーゼ阻害活性については、1,5-アンヒドログルシトールより3段階で誘導された6-アミノ-6-デオキシ-1,5-アンヒドログルシトールに阻害活性が認められたが、アミノ基をもたない他の1,5-アンヒドロアルジトール類には阻害活性が認められなかった。6-アミノ-6-デオキシ-1,5-アンヒドログルシトールのグルコシダーゼ阻害活性に関する報告はこれまでにない。 1,5-アンヒドログルシトールを用いた応用研究の一環として、ヘミアセタール性ヒドロキシ基の有無が生物活性に与える影響についても検討を加えた。すなわち、レドックス活性や細胞障害活性などのユニークな生物活性を有するエラジタンニンの一種であるTellimagrandin Ⅰに着目し1,5-アンヒドログルシトールを用いてTellimagrandin Ⅰのアナログ合成を試み、その中間体の合成に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画である、調製された「1,5-アンヒドロアルジトール類の生物活性」について検討を加えることができ、今後の研究の展開に大きな示唆を与える結果を得た。さらに、簡便に大量供給できることが明らかとなったので、調製された各種1,5-アンヒドロアルジトールを起源とした様々な応用研究にも着手することが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
無保護糖より簡便に大量供給が可能となった1,5-アンヒドロアルジトール類を出発物質として各種誘導体を合成し、グルコシダーゼ阻害活性やがん細胞に対する細胞増殖阻害活性などの生物活性の検討をおこなう。さらに、環状エーテル系不斉ポリオールという特徴的な構造に着目し、その機能についても応用研究を進めていく。また、中性単糖のみならず他の無保護糖類(例えば、アミノ糖やオリゴ糖など)についても今回確立できた調製法が適用できるか検討を加えたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、目的化合物の精製にはシリカゲルカラムクロマトグラフィーおよびそれに伴う各種有機溶媒が必要であったが、再結晶法が適用できることが明らかとなり、その必要がなくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
1,5-アンヒドロアルジトール類を基盤とした応用研究をおこなうための誘導体化に必要な試薬類に充当する。
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