研究実績の概要 |
強力な抗マラリア活性を有するCassiarin A の新たな生物活性として, 血管平滑筋弛緩作用, メラニン産生促進作用を見出した.また, Cassiarin A の各種アナログを合成し, 活性を評価したところ, 有望な誘導体を発見した. 一方, ceramicine類の抗マラリア作用や脂肪細胞分化抑制作用について明らかにしてきたが, 各種のスクリーニングにおいて, 新たにメラニン産生抑制作用を見出した.この活性は, ceranicine B がメラニン産生における律速酵素として知られるtyrosinaseタンパクの発現を抑制することに起因した. また, 確立したスクリーニング系を活用して, 研究室保有の植物抽出ライブラリーを検討した結果, キョウチクトウ科 Leuconotis griffithii より単離した ビスインドールアルカロイド, bisleuconothine A にオートファジーの活性を見出した.ヒト乳腺がん細胞(MCF7細胞), ヒト非小細胞肺がん(A549細胞)において濃度依存的にオートファジーの指標であるLC3-IIの発現を促進した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既にいくつかの cassiarin A および ceramicine B のアナログ合成を達成し, より活性の強いアナログを見出した.また, 多機能性を有する新しい多環性天然物の探索のためのスクリーニングを開始したところ, キョウチクトウ科 Leuconotis griffithii より単離したビスインドールアロカロイドbisleuconothine Aにオートファジーの活性を見出した.
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今後の研究の推進方策 |
Cassiarin A のアナログ体は, 血管平滑筋弛緩作用とメラニン産生促進作用により評価を行う.さらに, 本質的な生物活性の解明のため詳細な作用機序の解析を行う.引き続きceramicine B の作用機序を明らかにする目的で, 脂肪細胞分化に関する遺伝子発現, タンパク発現, そして転写活性化能について調べる.新たに見出したビスインドールアロカロイドbisleuconothine Aのオートファジーの活性の作用機序を解析する. 確立したスクリーニング系を活用して, アナログ体の活性評価を行うと同時に, さらに新たな多環性天然物の探索を行う.
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