研究実績の概要 |
確立した生物活性スクリーニング系を活用して、研究室保有の植物抽出ライブラリーを検討し多環性天然物の探索を行った。その結果、キョウチクトウ科 Leuconotis griffithii よりビスインドールアルカロイド, bisleuconothine A を単離し、オートファジーの活性を見出した.ヒト乳腺がん細胞(MCF7細胞)、 ヒト非小細胞肺がん(A549細胞)において濃度依存的にオートファジーの指標であるLC3-IIの発現を促進した。作用機序の解析より、bisleuconothine Aによる細胞増殖抑制活性は、オートファゴソーム形成の誘導に起因し、AKT-mTORシグナル伝達経路の阻害によって引き起こされることが示唆された。また、キョウチクトウ科Tabernaemontana phymataのメタノール抽出物に脂肪滴蓄積抑制活性を認め、活性化合物として、9-methoxyellipticineを単離した。脂肪前駆細胞株 (MC-3T3-G2/PA6) を用いて作用機序を解析した結果、PPARγの有意な発現抑制が認められ、脂肪細胞分化抑制に起因するものと示唆された。また、PPARγの上流因子について検討した結果、C/EBPβの遺伝子発現とタンパク発現の抑制が認められた。次に、マクロファージ様細胞株 (RAW264.7) を用いて解析した結果、9-methoxyellipticineはLPSで誘導されるC/EBPβやC/EBPβによって発現が制御される炎症性因子 (IL-6、TNF-α、MCP-1、COX-2) の発現を抑制した。
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