研究課題
健胃生薬には、苦味を有する苦味健胃薬の他、芳香性や辛味をもつものがあり、香辛料食品として応用されているものが多い。健胃生薬の重要な薬効として食欲不振の改善が伝承されているにもかかわらず、その薬理作用や薬効成分に関して、現代科学的に未解明なままとなっている。本研究においては、健胃作用や強壮作用が伝承されている天然薬物のうち香辛料に焦点を絞り、食欲抑制モデル動物において食欲改善など食欲シグナル制御物質の探索を実施し、伝承薬効の証明を行うとともに食欲改善薬開発のためのシード化合物またはリード化合物の開拓を行うことを目的とし、研究を行った。前年度までに見出したショウガ科植物のKaempferia pariviflora根茎に含まれるpenthamethoxyquercetinおよびショウガZingiber officinaleに含まれる [6]-shogaol、[10]-gingerol以外に、ワサビノキ科植物ワサビノキMoringa oleiferaに含まれるniazirinなどにin vitroでグレリン分泌促進作用を見出した。さらに、微量成分である[10]-gingerolおよび関連化合物の合成を行い、in vitroでのグレリン分泌促進のみならず、シスプラチン誘発食欲不振ラットでの効果および視床下部における食欲シグナルのひとつであるニューロペプチドY (NPY) mRNAの発現亢進について検討した。また、penthamethoxyquercetinの作用機序に関し、作用機序の解明を試みた。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Tetrahedron
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10.1016/j.tet.2015.07.045
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