研究課題/領域番号 |
25460149
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松野 研司 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (50433214)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 阻害剤 / IDO / 活性増強 / 新規ケモタイプ / 評価系構築 / 抗がん剤 / リード化合物 |
研究概要 |
申請時に見出していた3種類のIDO阻害剤それぞれの強活性化を目的とした誘導体デザイン、合成および評価を実施した。その結果、いずれの化合物も活性増強もしくは物性向上させることに成功した。高水溶性であることから細胞やin vivoでの評価が困難であることが懸念されたベンジルイソチオウレア誘導体1の構造変換においては、適度な脂溶性が確保された複素環化合物(ベンゾイミダゾールなど)を多数取得することができた。またフェニル基上の置換基の効果を検討し、置換基の種類により活性が大きく変動することが明らかになった。化合物2の構造変換においては、R1の許容性がかなり広いことが明らかになった。また化合物3の構造変換においては、代謝的に不安定なA部分を安定化した化合物の創製に成功すると共に、C部分が必ずしもIDO活性には必要ではないことを突き止めた。さらに化合物1の構造変換の過程において、新たなケモタイプのIDO阻害剤4を見出した。本化合物4は既存のIDO阻害剤とは異なる構造を有しているため、次年度の合成展開に加える予定である。 Docking model構築に関しては、化合物3のモデル構築に成功した。 また当初の予定を前倒して、細胞系(A431細胞)におけるIDO阻害活性評価系の構築を検討した。ポジコン化合物が文献値の阻害活性をほぼ再現したことから、本評価系が確立できたと判断した。合成した化合物の一部を評価した結果、期待通り細胞系でIDO阻害活性を示す化合物を複数見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度研究の根幹は化合物1~3それぞれの強活性化&良好な物性への変換であり、そのいずれにも成功するとともに、新たなケモタイプである新規IDO阻害剤4を見出している。Docking model構築に関しては、化合物3のモデル構築には成功したものの、化合物1および2に関してはモデル構築には至っていない。これはヘムに対するdockingが技術的に難しいことに由来する。しかし一方で、IDOの細胞評価系の立ち上げに前倒しで成功し、合成化合物が細胞評価系で活性を示すことを見出したことから、トータルとしてはおおむね計画通りと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り、化合物1~3の構造変換による強活性化を進めるとともに、これらの分子をハイブリッドした化合物の合成を開始し、リード候補としての基準に達した場合は、外注等による高次評価を開始する。 また今年度に構築できなかったdocking modelの構築を引き続き検討する。技術的な理由により作成が困難な場合は、化合物3のモデルを核に誘導体デザインを実施する。なおdocking modelの作成は本研究の最終目的ではなく、化合物の強活性化のための手段であるため、モデリングなしで目標達成が可能であると判断した場合は、モデル構築にはこだわらずに研究を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
若干の余剰金が発生したが、初年度交付金額の10%程度であり想定範囲内と考える。 今年度の若干の余剰金は次年度交付予定分と併せ、化合物1-4の誘導体合成・評価に必要な試薬、チップ、プレート等の消耗品を購入する費用に充てる。また化合物1-3の強活性化等に成功したことに加え、新たな阻害剤4を見出したことから、予定を早め次年度に学会発表する。
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