研究課題/領域番号 |
25460152
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
大多和 正樹 北里大学, 薬学部, 助教 (70453503)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 創薬化学 / 有機合成化学 / 天然物化学 / 構造活性相関 |
研究概要 |
これまで申請者は、強力かつ高いアイソザイム選択性を有するpyripyropene Aの誘導体合成を進め、構造活性相関を明らかにすると共に、pyripyropene Aを凌駕する高選択的でかつ強力なACAT2 阻害剤の開発に成功している。そこで、申請者らが構築に成功したpyripyropene Aの全合成経路を応用し、本研究の基本骨格となるA 環を簡略化した低分子型誘導体の合成経路の構築に取りかかり、その合成に成功した。 すなわち市販の(R)-carvoneを出発原料とし、段階的なジアルキル化、立体選択的なエポキシ化を経て合成することで中間体エポキシドとし、続いてPeterson 反応と続く酸処理によるエポキシドの開裂によりアルデヒド中間体へと導いた。更にこのアルデヒド中間体に対し、β-ケトエステル等価体を付加させた後、加溶媒分解と続く立体選択的な分子内ヘテロマイケル環化反応によるC環を構築した。最後にニコチン酸クロリドとのγ-位におけるC-アシル化と続くα-ピロン(D 環)の形成することで、目的のpyripyropene AのA環簡略型誘導体の合成を達成した。合成したpyripyropene AのA環簡略型誘導体の生物活性評価を行った結果、弱いながらもACAT2選択的な阻害活性を示すことが明らかとなった。従って申請者の見出したpyripyropene AのA環簡略型誘導体は、非天然低分子化合物としては初めてのACAT2選択的阻害剤となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、本研究の基本となるpyripyropene AのA環簡略型誘導体の合成経路を構築することができた。また合成した誘導体は残念ながら天然物には劣るものの、ACAT2選択的な阻害活性を有するという知見を得ることができており、今後の構造最適化に繋げていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
まず昨年度に構築したA環簡略型誘導体の合成経路の最適化を進め、収率改善や工程数の短縮等を試みる。引き続き、種々のA環簡略型誘導体の合成に取りかかる。まずイソプロピル側鎖に酸素官能基を導入した誘導体の合成を目指す。これは、ヒドロキシ基が一つ増えることによりpyripyropene Aの低親水性の改善が期待できると考えている。これら新規低分子誘導体は、出発物質である (R)-carvoneのイソプロペニル側鎖のクロル化を経てアリルアルコールへと変換した後、適宜酸化することで対応する酸素官能基を導入する。その後は構築したの合成法を踏襲することで順次骨格を構築し、イソプロピル側鎖に酸素官能基を導入した誘導体の合成を進めて行きたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を開始した当初は、研究が難航し小スケールでの実験検討を重ねたため、主な経費である試薬/器具代を抑える結果となった。しかしながら現在の研究の進捗状況が良好である事から来年度の研究経費が当初の予定を上回る可能性が高く、昨年度の残金を繰り越して使用する事で円滑に研究を進める事が出来ると考えている。 上記の通り、今年度は計画よりも研究経費が上回る可能性が高く、次年度使用額は全額試薬や器具等の物品費に使用する予定である。
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