研究課題
PKCetaを分子標的として、難治性炎症疾患の軽快・治癒を目的とする新規治療法の開発を目指した。第1に、炎症性皮膚疾患に着目し、PKCetaの発現や酵素活性を阻害する核酸・ペプチド阻害剤の効果を検証した。アトピーモデルマウスNc/Ngaの背部及び外耳皮膚を対象として、レシチン様経皮核酸導入剤や皮膚浸透性ペプチドを用いて、PKCeta特異的siRNAやPKCeta偽基質ペプチドを導入し、その効果を複数の臨床的所見(掻痒行動、発赤・出血、浮腫、擦傷、痂皮形成)をスコア化することで評価した。その結果、昨年度までに、1)PKCeta siRNAによりアトピー様皮膚炎が軽快することを確認し、2)ヒトPKCetaの発現を特異的・著明に抑制するsiRNA配列を同定した。更に、PKCeta偽基質ペプチドに様々な修飾を施し、その抗炎症効果も検証した。以上の成果を基に今年度は、全身性慢性炎症性疾患への応用を検討した。これは、PKCetaの活性を左右するSNPsが、脳梗塞・慢性関節リュウマチ・萎縮性胃炎の罹患率を上昇させることが示されているためである。特に、動脈硬化症への作用をApoEノックアウトマウス(ApoE KO)を用いて検討した。ヒトPKCeta siRNAを種々の導入試薬と共に尾静脈投与し、そのデリバリ効果・持続時間を検討した。その結果、特にコラーゲンベース試薬の効果が高いことが示された。また、PKCeta遺伝子を欠損による動脈硬化への影響を検討するために、PKCeta ノックアウトマウスとApoE KOとのダブルノックアウトマウスを作製し、血液学的・組織病理学的な解析を行った。
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