研究課題/領域番号 |
25460155
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
横松 力 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (70158369)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ホスホプロリン / ジペプチドイソスター / プロリン / 脱炭酸 / ホスホニル化反応 / 光学分割 / プロテアーゼ |
研究概要 |
生体内機能性物質の特定の部分構造をバイオイソスターで置換する手法は新規な生物活性化合物を見いだす上で有用な方法である。ジペプチドの加水分解遷移状態をミミックした構造は、基質とプロテアーゼ活性中心との親和性の増強に大きく寄与することが期待出来る。このことから、ペプチド性プロテアーゼ阻害剤の創製研究において、ジペプチド加水分解遷移状態ミミックの設計・合成・機能解析は極めて重要となる。テトラヘドラルなリン原子に3個の酸素原子が置換したホスホン酸誘導体は、α位にアミノ基が存在するとジペプチドの加水分解におけるテトラヘドラルな水和遷移状態と類似した構造となることから、ペプチド性プロテアーゼ阻害剤のジペプチドイソスターとしての利用可能と考えられる。本研究は、リン原子の構造的特徴を創薬に活用することを意図して企画された。 本研究年度では、光学活性ホスホプロリンの合成に焦点を絞り研究を展開した。ホスホプロリン は、天然アミノ酸の1つであるL-プロリンのカルボキシル基をホスホニル基に置き換えた類縁体である。光学活性ホスホプロリンは、ペプチド性プロテアーゼ阻害剤の構造ユニットとして利用可能である。それ以外にも、アルドール反応の有機酸触媒としての利用も期待できる。しかしながら、光学活性ホスホプロリンの合成法は、数例しか報告されておらず、簡便かつ環境に優しい合成法が求められている。本研究年度では、プロリンから直接ホスホプロリンへ変換する方法を検討したところ、プロリンをトルエン中ベンズアルデヒドおよびジエチルホスファイトと加熱還流するだけで、目的とするN-ベンジルホスホプロリンのジエチルエステルが高収率で得られることを見出した。本化合物から、脱ベンジル化反応続く無水酒石酸誘導体とのアミド化反応を経由して、ホスホプロリンの両エナンチオマーがー高純度で大量合成できた。以上の結果は、国際誌で研究成果を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究年度では、ホスホプロリンの合成に焦点を絞り研究を展開した。目的とする機能評価までには至っていないが、ほぼ、予定通りの進捗と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、ホスホプロリンの合成に焦点を絞って研究を展開させたが、次年度以降は、合成されたホスホプロリン誘導体の機能解析研究を展開する予定である。研究代表者は、これまでの研究において、ホスフィニルジペプチドイソスター(PDIs)の立体制御合成法を開発している。次年度以降の研究推進の方策として、PDIsを組み込んだペプチド誘導体の合成と機能評価を推進する予定である。具体的には、BACE1の基質ペプチドに注目して、BACE1により切断されるジペプチドをPDIに置き換えた類縁体の合成と機能評価について検討する予定である。
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