感染に伴う急性炎症はまれに全身に拡がり、最悪の場合は致命的な敗血症を引き起こす。多種類の炎症性メディエータ分子群が出揃った現在、これらメディエータの作用を増強する環境と、炎症の下流にあたる細胞外マトリックス構造の傷害機構の解明が急務である。ヘパラナーゼはヘパラン硫酸の切断を介して基底膜構造の分解に関与するとともに、遊離型ヘパラン硫酸の産生を介して炎症性メディエータの産生と放出を促進する。本研究ではヘパラナーゼを介した炎症調節機構に着眼し、硫酸化糖鎖の切断を介する炎症促進機構、ヘパラナーゼ阻害物質による炎症疾患モデルの抑制効果、ヘパラナーゼ自身の炎症性サイトカイン様作用、の3点を検討した。
|