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2014 年度 実施状況報告書

ヒト胎児肝細胞を用いた胎児毒性評価系の構築と分子毒性基盤

研究課題

研究課題/領域番号 25460167
研究機関信州大学

研究代表者

山折 大  信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 准教授 (40360218)

研究分担者 大森 栄  信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 教授 (70169069)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードヒト胎児肝細胞 / 薬物代謝酵素 / 発現解析
研究実績の概要

本研究は、ヒト胎児肝(HFL)細胞を用いた胎児毒性評価系を構築し、その分子毒性基盤を確立することを目的とする。本年度は、HFL細胞に発現する薬物代謝酵素遺伝子に対する化学物質の暴露評価を行った。抗てんかん薬、ニコチンとその代謝物、ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬、5-フルオロウラシル(5-FU)などの抗がん薬、ジクロフェナク、多環芳香族炭化水素、デキサメタゾン(DEX)、プレドニゾロン、all-trans-レチノイン酸(ATRA)など57種類の化合物を24時間処理した後にmRNAレベルの発現解析を行った。その結果、CYP1A1 mRNAレベルの有意な上昇はイミダプリル、3-メチルコラントレン、ベンゾ[a]ピレンなど15種の化合物で認められた。CYP3A7 mRNAレベルの有意な上昇は5-FU、DEX、プレドニゾロンなど7種の化合物で認められた。5-FUについては、さらに濃度依存性およびCYP3A分子種選択性の有無を検討した。その結果、5-FUはCYP3A7の発現を濃度依存的に上昇させたが、CYP3A4およびCYP3A5の発現には大きな影響を及ぼさなかった。エポキシドヒドロラーゼ1 mRNAレベルの有意な上昇はリシノプリル、ベンゾ[a]アントラセンで認められた。グルタチオン-S-転移酵素(GST)M1 mRNAレベルの有意な上昇はベナゼプリル、アジルサルタン、ピレンなど12種の化合物で認められた。GSTP1 mRNAレベルの有意な上昇はフェノバルビタール、ベンゾ[a]アントラセン、フルオレンなど6種の化合物で認められた。GSTT1 mRNAレベルの有意な上昇はフェノバルビタール、アラセプリル、アジルサルタン、ピレンなど14種の化合物で認められた。硫酸転移酵素(SULT)1E1 mRNAレベルの有意な上昇はDEX、プレドニゾロン、ATRAで認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、医薬品を含む57種類の化学物質を用いてHFL細胞に発現する薬物代謝酵素遺伝子に与える影響について解析し、5-FUがCYP3A7の発現を誘導し、また、DEX、プレドニゾロン、ATRAがSULT1E1の発現を強く誘導することを明らかにすることができた。5-FUはシグナル伝達を介した経路、また、DEX、プレドニゾロン、ATRAはこれらの標的受容体を介した経路で対象遺伝子の発現が誘導されている可能性が考えられ、現在、詳細な機構について解析中である。

今後の研究の推進方策

最終年度は、初年度の研究で細胞毒性を示した化学物質を用いて、各種薬物代謝酵素(P450、硫酸転移酵素、グルタチオン-S-転移酵素、エポキシドヒドロラーゼなど)をノックダウンまたは過剰発現させた胎児肝細胞に対する毒性評価を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究に必要な物品は全て購入し、端数が残っている状況である。

次年度使用額の使用計画

端数の残金と次年度の研究費の一部を合わせて、細胞培養に必要な試薬を購入する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] In vitro inhibition of CYP2C9-mediated warfarin 7-hydroxylation by iguratimod: possible mechanism of iguratimod-warfarin interaction2015

    • 著者名/発表者名
      Yamaori S, Takami K, Shiozawa A, Sakuyama K, Matsuzawa N, Ohmori S
    • 雑誌名

      Biol. Pharm. Bull.

      巻: 38 ページ: 441-447

    • DOI

      http://doi.org/10.1248/bpb.b14-00711

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Characterization of the structural determinants required for potent mechanism-based inhibition of human cytochrome P450 1A1 by cannabidiol2014

    • 著者名/発表者名
      Yamaori S, Okushima Y, Yamamoto I, Watanabe K
    • 雑誌名

      Chem. Biol. Interact.

      巻: 215 ページ: 62-68

    • DOI

      10.1016/j.cbi.2014.03.007

    • 査読あり
  • [学会発表] Evaluation of Luciferin-4A O-demethylase activity as a CYP4A11 marker in human liver and kidney microsomes2014

    • 著者名/発表者名
      Yamaori S, Shionoiri M, Ohmori S, Watanabe K
    • 学会等名
      19th North American ISSX Meeting and 29th JSSX Annual Meeting
    • 発表場所
      San Francisco, USA
    • 年月日
      2014-10-20 – 2014-10-20
  • [学会発表] ダナゾールのヒトCYP3A活性に対する阻害作用2014

    • 著者名/発表者名
      山折 大,津田有加,大森 栄,渡辺和人
    • 学会等名
      医療薬学フォーラム2014/第22回クリニカルファーマシーシンポジウム
    • 発表場所
      ビッグサイトTFTホール
    • 年月日
      2014-06-29 – 2014-06-29

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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