本研究では発がん修飾物質の作用点として発がん性物質の細胞内動態に着目して検討を行なった。その結果、ある種の医薬品(ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬)や食品成分(クルクミン)が異物排泄トランスポーター、特にBCRPの機能を阻害することで、発がん性物質の細胞内濃度を増加させ、その生理作用を増強していることが示唆された。 また、発がん性化学物質の体内動態を予測できる重層モデル実験系の作成に成功した。これを用いて、発がん性化学による遺伝毒性の変化を解析することにより、発がん修飾物質の作用機序の解析や検索に大きく貢献することが期待される。
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