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2014 年度 実施状況報告書

結核菌生菌特異的な宿主細胞傷害活性の解析

研究課題

研究課題/領域番号 25460170
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

瀧井 猛将  名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (80244573)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード結核菌 / 感染症 / 病原性 / サイトカイン / 細胞傷害活性 / 核酸
研究実績の概要

結核菌はヒト線維芽細胞株,及びヒトマクロファージに対して生菌特異的に細胞傷害活性を持つことを明らかにした (Takii, et al., J Interferon Cytokine Res. 2001).感染した宿主細胞の培養上清を濾過滅菌した試料には細胞傷害活性が認められる.さらに,この培養上清は結核菌に対しても抗菌活性を示す.現在,培養上清に含まれる細胞傷害活性因子,及び,抗菌活性物質を同定するために感染後,培養上清を回収し,各種カラムにより分離精製を進めている.
近年,ワクチンアジュバントに用いられているアラムアジュバント(アルミニウム塩)の作用機序について宿主の好中球のDNAが網目状に組織に流失していること関与していることが報告された(Marichai, et al., Nat Med. 2011).このDNAはマクロファージなどの抗原提示細胞の表面上に発現している自然免疫受容体(toll like receptors; TLRs)のリガンドとして働いていることが示されている.
この知見と結核菌生菌の宿主細胞傷害活性の獲得免疫に対する効果を考えると,宿主や菌由来のDNAが細胞外や菌体外に放出された結果,これらの核酸が免疫応答を活性化する可能性が想定される.本年度は細菌のDNAであるCpGオリゴで誘導されるサイトカインの産生誘導活性について検討したところ,マクロファージや線維芽細胞株には毒性は認められなかったことからCpGは結核菌生菌の直接的な宿主細胞傷害活性には関係していないことが示された.一方,サイトカイン誘導能は有していることから,宿主内で殺菌された菌から放出されたCpGが生菌特異的な細胞傷害活性をサイトカイン誘導を介して関節的に増強させている可能性が示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

核酸成分について,細胞傷害活性に果たす役割について検証することが出来た.現在進めている細胞傷害活性因子の精製と解析では複数の候補化合物が存在することが明らかになってきた.そのうちの1つであるペプチド同画分に細胞傷害活性と抗菌活性の両方を持ち,細胞傷害活性の因子の1つである可能性が示唆された.

今後の研究の推進方策

ペプチド成分の細胞傷害活性に対する機構解析を進める.該因子に対する抗体等の検出系を確立し,結核感染や治療時での結核菌の活動状況をモニター(バイオマーカーとしての応用を目指す)できるかを検討する.また,抗原としてワクチンの開発への応用を試みる.

次年度使用額が生じた理由

その他に計上していた予算が計画書どうりに執行出来なかった.

次年度使用額の使用計画

物品の購入、旅費に使用する予定である.

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2016 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Sensors for redox stress in Mycobacteria2016

    • 著者名/発表者名
      Takemasa Takii
    • 雑誌名

      kekkaku

      巻: 90(6) ページ: in press

    • 査読あり
  • [学会発表] BCGワクチンの副反応誘発株における遺伝子変異と宿主細胞に対する作用の解析2015

    • 著者名/発表者名
      瀧井猛将,吉田志緒美,有川健太郎,藤山理世,岩本朋忠
    • 学会等名
      第90回日本結核病学会総会
    • 発表場所
      長崎
    • 年月日
      2015-03-27
  • [学会発表] 新たな抗結核薬の探索2015

    • 著者名/発表者名
      瀧井猛将
    • 学会等名
      第90回日本結核病学会総会
    • 発表場所
      長崎
    • 年月日
      2015-03-27
    • 招待講演
  • [学会発表] BCG Tokyo172 typeⅠ,typeⅡ間でのマクロファージからのサイトカイン誘導能の検討2015

    • 著者名/発表者名
      高見篤郎,林 大介,山本三郎,瀧井猛将
    • 学会等名
      第85回実験結核研究会
    • 発表場所
      長崎
    • 年月日
      2015-03-26
  • [学会発表] Mycobacterium bovis BCGの酸化ストレスによるredox関連遺伝子発現変化の解析2014

    • 著者名/発表者名
      高見篤郎,富田陽香,前山順一,山本三郎,瀧井猛将
    • 学会等名
      フォーラム2014:衛生薬学・環境トキシコロジー
    • 発表場所
      筑波
    • 年月日
      2014-09-02
  • [学会発表] Mycobacterium bovis BCGの過酸化水素ストレスによるredox関連遺伝子発現変化の解析2014

    • 著者名/発表者名
      高見篤郎,富田陽香,前山順一,山本三郎,瀧井猛将
    • 学会等名
      第60回日本薬学会東海支部総会・大会2014
    • 発表場所
      鈴鹿
    • 年月日
      2014-07-05
  • [学会発表] BCG Tokyo 172 Type I , Type II間の酸化ストレス感受性とマクロファージ内生存能及び サイトカイン誘導能の比較研究2014

    • 著者名/発表者名
      瀧井猛将,伊藤佐生智,大原直也,前山順一,林 大介,山本三郎
    • 学会等名
      第89回日本結核病学会総会
    • 発表場所
      岐阜
    • 年月日
      2014-05-10
  • [学会発表] マクロファージ感染Mycobacterim aviumに対するクラリスロマイシンとバフィロマイシンの相乗効果2014

    • 著者名/発表者名
      伊藤佐生智,小川賢二,八木哲也,瀧井猛将
    • 学会等名
      第89回日本結核病学会総会
    • 発表場所
      岐阜
    • 年月日
      2014-05-10
  • [学会発表] 抗酸菌とレドックス2014

    • 著者名/発表者名
      瀧井猛将
    • 学会等名
      第89回日本結核病学会総会
    • 発表場所
      岐阜
    • 年月日
      2014-05-09
    • 招待講演
  • [学会発表] BCG Tokyo172-1に存在するサブポピュレーションの比率変化に関する検討2014

    • 著者名/発表者名
      大原直也,趙娜,和田崇之,藤原永年,前田伸司,山本三郎,瀧井猛将,前山順一
    • 学会等名
      第89回日本結核病学会総会
    • 発表場所
      岐阜
    • 年月日
      2014-05-09
  • [学会発表] BCGワクチン接種による副反応事例から得たBCG Tokyo172株の分子特性2014

    • 著者名/発表者名
      岩本朋忠,有川健太郎,藤山理世,松林恵介,水尻節子,白井千香,伊地智昭浩,瀧井猛将
    • 学会等名
      第89回日本結核病学会総会
    • 発表場所
      岐阜
    • 年月日
      2014-05-09
  • [学会発表] BCG Tokyo172 type I, type II間でのマクロファージからのサイトカイン誘導能の検討2014

    • 著者名/発表者名
      瀧井猛将,高見篤郎,林 大介,山本三郎
    • 学会等名
      第84回実験結核研究会
    • 発表場所
      岐阜
    • 年月日
      2014-05-08
  • [備考]

    • URL

      http://www.phar.nagoya-cu.ac.jp/hp/esk/gyoseki.html

  • [産業財産権] ワクチンアジュバント及び免疫増強剤2014

    • 発明者名
      瀧井猛将,小野嵜菊夫,伊藤佐生智,山中淳平,竹野聖史,北川慎也
    • 権利者名
      名古屋市立大学、名古屋工業大学
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2014-140033
    • 出願年月日
      2014-07-07

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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