研究課題
基盤研究(C)
黄色ブドウ球菌は多彩なタンパク質毒素を産生するが,その中の一種,Staphylococcal superantigen-likeファミリーはスーパー抗原と類似の立体構造を持ちながら,スーパー抗原活性を示さない,機能未知の毒素でファミリーである.本年度は黄色ブドウ球菌SSLのうちの一つ,SSL10-血液凝固因子の相互作用について精査し,この毒素がSSL10が血液凝固を抑制すること,この凝固抑制の作用機作はプロトロンビンの活性化を抑制であること,SSL10がプロトロンビン,第VII,IX,X因子などビタミンK依存性凝固因子を認識し,SSL10とこれらの結合に凝固因子のγカルボキシグルタミン酸修飾が必須であること,カルシウムがSSL10と凝固因子の結合に干渉することなどを見出し,報告した(Itoh et al., J Biol Chem. 2013 ).
2: おおむね順調に進展している
当初は他のSSL-標的分子の相互作用についても詳細に解析する予定であったが本年度はこれまで見出したSSL-標的相互作用のうちSSL10と血液凝固因子に絞って研究を行った.その結果この毒素と標的の相互作用のメカニズムについては当初の予定より詳細なところまで解析することができ,これを報告することができたため(Itoh et al., J Biol Chem. 2013 ),全体的には順調に進展していると考えている.
次年度はSSL10-血液凝固因子相互作用以外の,私たちがこれまでに見出したSSL-標的相互作用について,その分子メカニズムを明らかにしたい.これらの知見はSSLの標的分子阻害作用を創薬に応用するうえで大いに役立つと考えている.
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件)
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