研究実績の概要 |
黄色ブドウ球菌の産生する免疫かく乱タンパク質ファミリー,SSLは多彩な宿主免疫関連因子に結合し,その機能を阻害する.私たちはSSL3がTLR2を,SSL5がMMP-9を,SSL8がテネイシンCを,SSL10がIgG,フォスファチジルセリン,血液凝固因子を標的にすることを明らかにしている.最終年度である本年度はSSL10の血液凝固因子との相互作用に関わる領域の特定を試みた.その結果,SSL10の二か所の血液凝固因子結合領域(それぞれ30アミノ酸残基程度)を特定することができた.今後はこの領域からなるペプチドを作成し,その血液凝固阻害作用を検討することで,細菌毒素の宿主機能タンパク質かく乱作用をもとにした新たな作用機序を持つ医薬品の開発を目指す予定である.
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