研究課題
ピロリ菌のがん蛋白質CagA は宿主細胞内でautophagyにより分解され安定化できないが、CD44v9発現細胞ではCagA分解性autophagyが発現せず、CagAが特異的に蓄積する。つまり、CagAの発がんシグナルは、安定化できる細胞特異的に発揮される。本研究では、autophagy発現シグナル解析から、autophagy発現抵抗性を示す細胞特性を見出し、ピロリ菌感染時の胃発がんリスクを高める宿主要因を提示することを目的とした。autophagyはピロリ菌外毒素VacAが宿主細胞表層のLRP1に結合することで誘導される。前年度までに、VacA結合後のLRP1-ICDは、lysosome表層蛋白質の転写因子となり、autophagolysosome形成促進に関与し、また、核内でLRP1-ICDに結合しautophagolysosome形成を抑制するLRP1-binding proteinが存在することを明らかとした。さらに、LRP1-binding protein過剰発現細胞へのピロリ菌感染では、autophagy発現が抑制されCagAが蓄積することを明らかとした。本年度の研究により、LRP1-binding protein過剰発現細胞へのCagA蓄積がCD44v9発現を惹起することを明らかとした。さらに、マウス胃粘膜上皮細胞中には、LRP1-binding protein発現が亢進している細胞が存在することを免疫組織学的解析並びにFACS解析により明らかとした。これらの結果から、LRP1-binding proteinの発現亢進細胞は、autophagy発現抵抗性を示し、CagAを蓄積させる細胞であることが示され、さらには、CD44v9発現細胞の誕生にも寄与する極めて重要な宿主細胞キャラクターであることが示された。
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