研究課題/領域番号 |
25460175
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
菅野 裕一朗 東邦大学, 薬学部, 講師 (40453849)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Nuclear receptor / CAR / cytochrome P450 / cofactor |
研究実績の概要 |
核内受容体constitutive androstane receptor(CAR)やpregnane X receptor(PXR)は、様々な環境化学物質や医薬品などの生体外異物をリガンドとして、異物の代謝などで重要な役割を果たしている。多くの場合、CARとPXRはリガンドを共有している(デュアルリガンド)。これまで、薬物代謝酵素の誘導やエネルギー代謝調節機構に対するCARやPXRの機能については、リガンドに主眼を置いた検討はほとんどない。CARの部分アゴニストには選択的CAR調節薬(selective CAR modulator; SCARM)としての機能が期待される。我々は、デュアルリガンド及びSCARMの作用について、HepTR-CAR細胞およびHepTR-CAR/PXR細胞を用いて評価し、その作用は遺伝子選択性が存在することを明らかとした。その遺伝子選択性の要因として未知のコファクターが関与する可能性を考え、新たなCAR結合タンパク質の同定を行ったところ、いくつかの結合タンパク質が見出された。その一つである、Protein arginine N-methyltransferase 5(PRMT5)はCARのcoactivatorとして働き、CARによる転写を活性化することを明らかとした。一方、PRMT5のノックダウンにより、CARによる標的遺伝子発現誘導を評価したところ、遺伝子選択性が認められた。このことより、CARによる標的遺伝子の転写活性化にはcofactorによる選択性も存在することが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
樹立したHepTR-CAR細胞およびHepTR-CAR/PXR細胞を用いて、CAR・PXRによる選択的遺伝子発現調節機構を評価することができた。さらに、免疫共沈降法をもちいて、未知のCAR結合タンパク質の同定を試みたところ、多くのCAR結合候補タンパク質を見出すことができた。さらにその中の一つであるPRMT5によるCAR制御機構を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
概ね計画通りに進んでいるため、計画通りに遂行する。 次年度は、主に同定された新規コファクターとデュアルリガンドの関係を詳細に検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ計画通りに使用した。
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次年度使用額の使用計画 |
物品購入(試薬など)に使用する予定である。
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