研究課題
【研究目的】本研究は騒音や耳毒性を誘発する環境因子の曝露による難聴などの内耳機能障害の予防法の開発に向けた基礎データを得る為に、聴性脳幹反応(ABR)および行動解析を組み合わせた評価、さらに内耳のコルチ器と前庭の形態解析を実施した。【方法】乳児期のICR系統の野生型マウスに100 Hzの周波数にピークを持つ騒音を約4週間曝露し、ABR、ロータロッド、平均台試験、内耳の形態解析を実施した。また、耳毒性を誘発する環境因子としてマンガン(Mn)の飲水曝露実験もC57BL/6系統の野生型を対象に実施した。【結果】乳児期のマウスに100 Hzの周波数にピークを持つ騒音を曝露すると、非曝露群と比較して行動解析の成績が有意に低下し平衡感覚異常を示した。また、曝露群の内耳前庭はcalbindin-D28k陽性の有毛細胞の減少を示した。一方、ABRでマウスの聴力を測定した所、今回の100 Hzにピークを持つ騒音の曝露条件では聴力への影響はみられなかった。以上の結果より、100 Hzにピークを持つ騒音は内耳前庭の障害を介して平衡感覚障害を誘発する事が分かった。また、聴覚に影響する環境因子としてMnをマウスに飲水投与した所、Mn投与群で内耳のMnレベルが有意に増加し、ラセン神経節の変性を伴い難聴を誘発する事が分かった。【今後の予定】我々は遺伝子改変マウスで加齢性難聴を発症する事、その機能増強により加齢性難聴の予防に成功してきた。今後、これらの知見を元に分子メカニズムを解明し、実験研究で得られた新知見について、ヒトを対象にした疫学研究で検証を進めたい。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
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