研究課題
基盤研究(C)
大麻は乱用の観点から注目されているが、欧米諸国では、大麻主成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)が医療用大麻として臨床使用されている(抗がん剤の副作用である悪心・嘔吐の予防)。しかし、同時にTHCによる内分泌かく乱作用が懸念されている。したがって、THCの臨床使用には重大な課題が残る。本研究では、これまで謎であったTHCによる内分泌かく乱機構(=女性ホルモン作用の抑制)を解明することを目指す。得られた成果は、THCの臨床適正使用に向けた基礎的知見として極めて意義深いものになると考えられる。H25年度は、THCによる女性ホルモン作用の抑制機構の解明をヒト乳がん細胞モデルであるMCF-7細胞株を用い行った。その結果、THCは第2の女性ホルモン受容体であるエストロゲン受容体β(ERβ)の発現を顕著に誘導した。THCはこのERβの発現増加を介して女性ホルモンが本来作用するERαの機能を阻害することが明らかになった。本研究は緒についたばかりであるが、本研究で得られた成果は学術雑誌に掲載され、さらには西日本新聞(2013年7月19日朝刊)に取り上げられた。次年度以降は、THCによるERβの発現誘導機構を解析する予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初、交付申請書に記載した通り、H25年度の研究目的は怠りなく概ね順調に進んでいると思われる(研究実績の概要参照)。なお、研究成果は、学術雑誌への掲載および新聞に報道された。
当初、H26年度の実施計画に卵巣に注目した検討を加えていたが、これまでの予備的検討で子宮に与える影響が示唆されている。そこで、実施計画に THCが子宮に与える影響評価を加える。
当初の概算計画よりも効率的に消耗品などを購入、使用できたことが最大の理由と考えられる。効率的に消耗品などを購入、使用を心掛けるが、本年度は動物実験を実施する計画があり、繰り越し予算は予備的検討を含めた十分な実験を遂行するために使用する予定である。
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Chemical Research in Toxicology
巻: 26 ページ: 1073-1079
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Yakugaku Zasshi
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