欧米諸国では、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)は医療用大麻としての地位を確立しており、がん患者の嘔吐予防などの目的で使用されている。しかし、Δ9-THCには内分泌かく乱作用があることが示唆されており、その臨床使用には課題が残る。本研究では、Δ9-THCの臨床使用における内分泌かく乱の問題について、これまで謎であった内分泌かく乱のメカニズムを解明し、Δ9-THCの臨床適正使用に向けた予防薬学的基礎研究を実施した。その結果、Δ9-THCは第二のエストロゲン受容体であるERβの発現を増加させ、さらには活性化させることで女性ホルモンの作用をかく乱(=抑制)することが明らかとなった。
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