研究課題
基盤研究(C)
本研究では、種々のウイルス感染症に対して有効な汎用的経口アジュバントの開発を目指して、腸管免疫を介した細胞性免疫賦活化に有効な経口抗原を検討するとともに、腸管免疫を介した選択的な細胞性免疫賦活化機序を明らかにすることを目的とした。25年度は、ウイルスとは異なる抗原により腸管免疫系で惹起されたTh1反応が、種々のウイルス感染症に有効な細胞性免疫を誘導・賦活できること立証するため、1) 単純ヘルペスウイルス(HSV-1)経皮感染で、細胞性免疫を賦活化してインフルエンザウイルス(IFV)感染症の軽症化に有効であった乳酸菌(06CC2株)が、やはり腸管免疫を介したTh1免疫誘導(遅延型過敏反応の誘導)による皮膚でのHSV感染細胞排除に有効であるか否かを検討した。その結果、用いた10種の乳酸菌の中で、唯一IFV感染症に有効であった06CC2株だけが、HSV-1皮内感染マウスのパイエル板細胞のIFN-γ遺伝子の発現量を有意に増加した。また、06CC2株投与によりHSV-1感染後のヘルペス皮膚病変の進展が有意に抑制、脳中HSV-1量が有意に減少、遅延型過敏反応(DTH)が有意に増強されることが明らかとなった。したがって、06CC2株の経口投与は、HSV-1経皮感染においても腸管免疫を介した細胞性免疫賦活作用があることが明らかとなった。されに、06CC2株投与マウスの腸内細菌叢では、Bifidobacteriumの割合が増加していることが明らかとなった。25年度に行う予定であった2)腸管樹状細胞のパターン認識受容体のリガンドとして、腸管免疫系でTh1免疫応答を強く誘導する経口抗原の検索には至らなかったが、現在、06CC2株投与による腸内細菌叢の変化とTh1免疫応答との関係に着目して、腸管樹状細胞のパターン認識受容体のリガンドの検討を行っている。
3: やや遅れている
当初25年度に実験計画 2)腸管樹状細胞のパターン認識受容体のリガンドとして、腸管免疫系でTh1免疫応答を強く誘導する経口抗原のスクリーニングをランダムに行う予定であった。しかし、乳酸菌(06CC2株)がインフルエンザウイルス感染にも単純ヘルペスウイルス感染にも、腸管免疫を介した細胞性免疫の賦活化に有効であることが明らかとなり、さらに、06CC2株投与による腸内細菌叢の変化とTh1免疫応答との関係が明らかとなったので、まず、腸内細菌叢の変化とTh1免疫応答との関係を明らかにしてから、腸管樹状細胞のパターン認識受容体のリガンドの検討を試みようと若干実験計画プロセスを変更したため。
25年度で明らかとなった、乳酸菌(06CC2株)経口投与による腸内細菌叢の変化とTh1免疫応答との関係を明らかにしてから、腸管樹状細胞のパターン認識受容体の経口抗原(リガンド)の検討を行う。また、当初の計画通り、選択した経口抗原の種々のウイルス感染症に対する有効性を検討する。また、腸管免疫系でTh1免疫応答を強く誘導できる経口抗原を用いて、Th1免疫応答に関与する免疫機序の解析を行う。
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Article ID 6982062013