研究課題/領域番号 |
25460183
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研究機関 | 九州保健福祉大学 |
研究代表者 |
黒川 昌彦 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (80186527)
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研究分担者 |
渡辺 渡 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (50399218)
吉田 裕樹 九州保健福祉大学, 薬学部, 講師 (90469411)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 経口アジュバント / 細胞性免疫 / 腸管免疫 / ウイルス感染 / パイエル板 |
研究実績の概要 |
本研究では、種々のウイルス感染症に対して有効な汎用的経口アジュバントの開発を目指して、腸管免疫を介した細胞性免疫賦活化に有効な経口抗原を検討するとともに、腸管免疫を介した選択的な細胞性免疫賦活化機序を明らかにすることを目的としている。25年度は、単純ヘルペスウイルス(HSV-1)経皮感染マウスモデルを用いて、乳酸菌(06CC2株)の経口投与が腸管免疫を介した細胞性免疫賦活作用を示し、HSV-1皮膚病変を緩和することを明らかにした。このHSV-1感染モデルで、これまでにプロポリスAF-08の経口投与も同様に、細胞性免疫賦活作用を示し、HSV-1皮膚病変を緩和することを明らかにしている(Evid. Based. Complement. Alternat. Med., Volume 2011, Article ID 976196)。そこで、26年度は、25年度に予定していた「腸管樹状細胞のパターン認識受容体のリガンドとして、腸管免疫系でTh1免疫応答を強く誘導する経口抗原の検索」として、HSV-1感染モデルで乳酸菌とプロポリスに続く新たな細胞性免疫賦活作用を示すサプリメント・健康食品を検索して、乳酸菌とプロポリスを含めて、これらに共通する細胞性免疫賦活作用を示す物質を検索することとした。 その結果、モリンガ(Moringa oleifera Lam.)葉水エキスがHSV-1感染モデルを用いて細胞性免疫賦活作用を示すことを明らかにした。さらに、モリンガ葉水エキス中に多く含まれているGABAの単独経口投与によっても、細胞性免疫に由来する遅延型過敏反応(DTH)が有意に増強されることが明らかとなった。今後、乳酸菌、プロポリス、モリンガ葉水エキスに共通した細胞性免疫賦活化因子を明らかにするために、これら三種による腸内細菌叢の変化とTh1免疫応答との関係の解析や乳酸菌、プロポリス、モリンガ葉水エキスに共通する細胞性免疫賦活化因子の解析を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度で研究の進展がやや遅れていたが、2年目で細胞性免疫賦活作用のあるサプリメント・健康食品が3種類明らかとなったため、当初の計画通りおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、乳酸菌、プロポリス、モリンガ葉水エキスやGABA投与による共通した腸内細菌叢の変化とTh1免疫応答との関係を解析している。また、乳酸菌、プロポリス、モリンガ葉水エキスに共通する細胞性免疫賦活成分を解析している。この結果、「腸管樹状細胞のパターン認識受容体のリガンドとして、腸管免疫系でTh1免疫応答を強く誘導する経口抗原」を明らかにして、腸管免疫のTh1免疫応答機序の解析を行いたいと考えている。
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