研究課題/領域番号 |
25460186
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
李 宣和 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (60519776)
|
研究分担者 |
大江 知行 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (10203712)
後藤 貴章 東北大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (40344684)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | Oxidative stress / Lipid peroxidation / Hydroxyl radical / Chemical modification / Neuropeptides / Angiotensin peptides / Mass spectrometry |
研究実績の概要 |
N-末端 α-ケトアミドペプチドの環化反応の研究
1. Cu(II)/アスコルビン酸 (AA) 系あるいはUV/過酸化水素系由来のヒドロキシラジカルとアンジオテンシン (Ang) II (DRVYIHPF) の反応から、N-末端環化-Ang II (Ang C) とピルバミド-Ang II (Ang P, CH3COCONH-RVYIHPF)を見出した。Ang Cの構造は、質量分析法と赤外分光法を用いた標品との比較により確認した。 2. Cu(II)/AAとAng Pの反応から、Ang PがAng Cの前駆体である事を確認した。反応は、Cu(II)イオンとのキレート生成で安定化されたアミニルラジカルからの5員環を形成、更に環上のアルコキシラジカルのβ開裂による末端CH3CO基の脱離を経る物と推測した。 3. Ang CのAng II type 1レセプターとの親和性は、Ang IIやAng Pに比べ著しく低下していた。Ang Cは、Ang IIを Ang IIIに代謝するアミノペプチダーゼ Aの基質とならなかった。ヒドロキシラジカル由来のN-末端環化反応は、N-末端アラニン、アルギニン、バリンであるAngペプチド類、更にはアミロイドβ1-11(DAEFRHDSGYE)でも観測された。これらの結果の一部は、既に報告済みである (Lee et al., Chem. Res. Toxicol., 28, 59-70, 2015. DOI: 10.1021/tx500332y)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、ヒドロキシラジカルによるα-ケトアミドを経由したN-末端環化体生成の反応機構を初めて明らかにした。N-末端α-ケトアミドペプチドは、ヒドロキシラジカルのみならず4-oxo-2(E)-nonenal (ONE)との反応でも生成する。 しかしながら、N-末端α-ケトアミドの環化反応は、Cu(II)/AA存在下でのみ進行する事も明らかにした。更にα-ケトアミドとその環化体は、ペプチドの生理活性に大きく影響を及ぼす事も見出した。
|
今後の研究の推進方策 |
1. 4,5-Epoxy-2(E)-decenal (EDE)と4-hydroperoxy-2(E)-nonenal (HPNE)によるAng II修飾の研究。 2. ヒト血漿中のα-ケトアミドAngペプチドの検出 [13C5, 15N1]-Ang IIからの各内標準物質の調製。 Girard試薬による誘導体化とイオン交換カートリッジによる前処理条件の最適化。 選択反応モニタリングを用いたLC/ESI-MS法の構築。
|