研究課題
高尿酸血症治療薬フェブキソスタットは肝臓と腎臓で同程度に代謝・排泄をうけるため、従来の同効薬であったアロプリノールと比較して腎機能の寄与が少なく、軽度から中程度の腎機能低下患者に対しても用量調節の必要がないことから、幅広い患者に使いやすい薬剤であるとされる。一方で、本薬剤の薬物動態変動要因については十分な情報がないのが現状である。本研究では、本薬剤の個体内変動要因を解明するため、基礎から臨床への横断的な薬物動態研究を実施することにより本薬剤の個別化薬物投与設計の確立を目指す。本薬剤はUDP-グルクロン酸転位酵素(UGT)によりグルクロン酸抱合をうけることが報告されているが、その反応に関与する分子種は明らかになっていなかった。そこで、基礎薬物動態学的研究では、種々のUGT分子種を発現した昆虫細胞を用いた速度論的解析を実施し、本薬剤の主要代謝酵素を明らかとした。高尿酸血症患者を対象とした臨床薬物動態研究では、85名の患者を導入し、400点以上の血中濃度測定を実施した。これまでの解析から、本薬剤は腎機能低下症例でも腎機能正常患者と同等の薬物動態特性を示すことを明らかとし、高度腎機能低下症例であっても用量調節の必要がない薬剤である可能性を示した。さらに、上述の基礎薬物動態学的研究により明らかとなった本薬剤の代謝に関与する代謝酵素の遺伝子多型と薬物動態および治療効果との関係について、母集団薬物動態薬力学的解析を実施している。
2: おおむね順調に進展している
基礎薬物動態研究において、主要代謝酵素の同定に成功していることに加え、臨床薬物動態研究においても当初の目標測定数を達成し、腎機能による影響を明らかにするなど、一定の研究成果を挙げてきたため。
現在までの達成度に示したとおり、これまでの研究はおおむね順調に進展していることから、研究計画の変更は予定していない。最終年度である次年度は、これまでに取得した血中濃度データおよび遺伝子多型データを元に母集団薬物動態解析により、フェブキソスタットの薬物動態・薬力学モデルを構築し、個別化投与設計の構築を目指す。
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