研究課題
高尿酸血症治療薬フェブキソスタットは肝臓で代謝を受けて不活化された後に、肝臓・腎臓から消失されるため、軽度・中等度の腎障害患者でも用量調節の必要が無いとされており、消失経路が腎臓のみである同効薬のアロプリノールと比較して、幅広い患者で使いやすい薬剤であるとされる。従って、実臨床においては様々な背景を有する患者にも処方されることが予測される。一方で、限局された患者を対象とした市販前の臨床試験ではカバーできない患者層に対する投与の有効性・安全性の評価は十分でないのが現状である。そこで本研究計画では、実臨床における患者を対象とした臨床研究と基礎薬物動態学的研究を通じて、フェブキソスタットの治療効果・薬物血中濃度に与える患者背景要因の影響の評価を行った。これまでに、フェブキソスタット服用患者を対象とした臨床研究の結果から、高度腎機能低下患者においても軽度・中等度腎機能低下患者と同等の薬物動態及び治療効果を示すことを明らかとしてきた。また、昆虫細胞を用いた基礎薬物動態実験の結果から、本薬剤が主にUGT1A1とCYP2C9により代謝されることを明らかとした。研究計画の最終年度となる本年度は治療効果及び薬物血中濃度に与える薬物代謝酵素及び薬物トランスポーターの影響解析を目的として、母集団薬物動態解析を実施した。薬物消失クリアランスに対する代謝酵素の遺伝子多型の影響は少なく、代謝酵素の遺伝子変異による薬物動態・治療効果への影響は少ないことが示唆された。
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