研究課題
基盤研究(C)
本研究では、PCSの細胞内蓄積が酸化ストレスに及ぼす影響と、それに伴う細胞障害の関連性を、CKDラット及びヒト近位尿細管上皮細胞(HK-2)を用いて検討した。CKDラットは 5/6腎臓摘出により作製した。血漿中PCS濃度及び酸化ストレス度はHPLC及びFREE carpe diemにて測定した。HK-2細胞内活性酸素種(ROS)産生は、ROS感受性試薬CM-H2DCFDAを用いて解析した。NADPH oxidase及び各種サイトカインの発現量はreal-time RT PCR及びWestern blotにより確認した。CKDラットでは血漿中PCS濃度が上昇し、PCS濃度と血漿中酸化ストレス度との間には有意な正の相関性が観察された。HK-2において、PCSは細胞内ROS産生を増大させた。このROS産生の増大はNADPH oxidaseの活性化に一部起因することが示唆された。ROS産生に伴い線維化マーカーの発現量増大と細胞障害が観察された。この現象は、有機アニオントランスポータ(OATs)阻害剤であるプロベネシド存在下で有意に抑制された。以上の結果より、CKDに伴うPCSの蓄積、特にOATsを介した腎細胞内への取り込みは、ROS産生を亢進することで腎線維化を惹起し、CKDの病態進展及び合併症発現に関与することが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
上述の通り、HK-2細胞に加え、CKDラットを用いた系において、PCSが尿細管障害を誘発することを明らかにしたため概ね順調に進展していると評価した。CKD患者血清由来アルブミンー尿毒症物質複合体を用いた検討が出来なかったので、次年度引き続き検討する。
CKD患者血清中アルブミン-尿毒症物質-脂肪酸濃度の測定をスピードアップする。GS-MSを用いて血清中脂肪酸含量の定量方法を確立できたため、今後は検体を増やして、プロファイリングの作成を行う。なお、尿毒症物質濃度も引き続き測定する。患者血清中プロファイルと尿細管障害との連関について検証する。
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