研究課題
本研究では、アルブミン結合型内因性リガンドである尿毒症物質及び脂肪酸による腎障害進展機序の解明を目的とした。究極の目的は本腎障害機序に基づいた治療戦略の探索である。H27年度は尿毒症物質パラクレジル硫酸(PCS)による腎及び血管障害作用の総括と、不飽和長鎖脂肪酸による炎症を介した腎毒性について総括した。1.HK-2細胞、HUVEC、HASMC細胞を用いた検討から、PCSがNADPH oxidaseを活性化することで過剰のROS産生を惹起することが確認できた。CKDラットでも同様の結果が得られた。すなわち、PCSによる腎及び血管障害毒性に対する治療標的としてNADPH oxidaseと過剰のROSを同定した。2.HK-2細胞を用いた検討により、過酸化水素誘発の酸化ストレスが、長鎖脂肪酸代謝酵素を制御することで細胞内不飽和脂肪酸濃度を上昇させ、上昇した不飽和脂肪酸が細胞障害を誘発するという知見を見出した。また本結果は、シスプラチン誘発急性腎障害においても同様に確認できたことから、in vivoでも生じる結果であることを確認した。3.今後、腎における脂肪毒性についての詳細を検討するため、GC-MSを用いて脂肪酸濃度(C8~C24)の測定系を確立した。その際、C19を内部標準物質として定量可能なことを確認した。
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