研究課題/領域番号 |
25460193
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
中村 克徳 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (20361363)
|
研究分担者 |
木村 和哲 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00423848)
安藤 雄一 名古屋大学, 医学部附属病院, 教授 (10360083)
松永 民秀 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40209581)
大森 栄 信州大学, 医学部附属病院, 教授 (70169069)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | インフュージョンリアクション / モノクローナル抗体製剤 / 分子標的薬 / マクロファージ / リツキシマブ |
研究概要 |
【本研究の目的】インフュージョンリアクションは、一般的にモノクローナル抗体製剤(抗体医薬)の投与後に発現する急性期の有害事象を言う。近年は、癌治療をはじめとして分子標的薬が増加しており、なかでも抗体医薬はその中心的役割を担っている。このため、抗体医薬投与直後に発現する副作用の予測は非常に重要になってきている。本研究では、抗体医薬投与直後に発現する副作用を未然に防ぐ手段を確立するために、薬剤投与直後に副作用を発現した患者の遺伝子多型、抗体医薬血中濃度、およびエピジェネティック変異等を網羅的に解析することによりインフュージョンリアクションリスク因子を明らかにし、ハイリスク患者を予測可能な評価系の確立を最終的な目的とした。 【平成 25 年度の研究成果】 (1)モノクローナル抗体製剤などの分子標的薬投与後にインフュージョンリアクションを発症した患者由来の末梢血を収集するに先立ち、実施施設での遺伝子倫理審査委員会の承認を得る必要がある。抗体製剤全般としての承認が得られなかったため、インフュージョンリアクションの発症頻度が高いリツキシマブについて承認を得た。また、電子カルテ情報から収集可能な臨床検査データについて患者個人名を匿名化したのちに転記した。遺伝子多型解析に先立ち、ケース群とコントロール群を選択した。 (2)本研究におけるインフュージョンリアクション評価系の構築には発症患者末梢血由来のマクロファージ等の血球を利用することが望ましいが、研究に使用するために十分な量のマクロファージを確保するのは難しい。このため、マクロファージに分化する能力を持つ前骨髄球性白血病由来細胞 HL60 株(RCB0041、理研バイオリソースセンター)を利用したマクロファージの分化誘導法の検討を開始した。さらに、iPS 細胞から iPS-sacを形成することに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【平成 25 年度の研究達成状況】 (1)抗体医薬投与直後に副作用を発現した患者の遺伝子多型解析に関しては、末梢血を収集するに先立ち、実施施設での遺伝子倫理審査委員会の承認を得た。抗体医薬の中でもインフュージョンリアクションの発症頻度が高いリツキシマブについて電子カルテ調査を順調に開始し、電子カルテ情報から臨床検査データについて患者個人名を匿名化したのちに転記した。ケース群とコントロール群を選択する基準を策定した。 (2)本研究におけるインフュージョンリアクション評価系の構築には発症患者末梢血由来のマクロファージ等の血球を利用することが望ましいが、研究に使用するために十分な量のマクロファージを確保するのは難しい。さらに、患者同意を得ることも比較的困難であった。このため、マクロファージに分化する能力を持つ前骨髄球性白血病由来細胞 HL60 株(RCB0041、理研バイオリソースセンター)を利用したマクロファージの分化誘導法の検討を開始して、iPS 細胞から iPS-sacを形成することに成功した。現在、マクロファージ等への分化を検討中である。 以上のことから、現在まで概ね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
【平成 25 年度以降の研究方針】 (1)共同研究先の施設で遺伝子倫理審査委員会の承認を得る。また、血液サンプルを収集し、FcRn など最近明らかになって来た抗体医薬の薬物動態に影響を与える新規因子について遺伝子多型解析を行う。さらにゲノムワイド関連解析(GWAS)を行う。 (2)インフュージョンリアクション評価系の構築のため、引き続き発症患者末梢血由来のマクロファージを確保を模索する。マクロファージに分化する能力を持つ前骨髄球性白血病由来細胞 HL60 株や、疾患患者由来 iPS 細胞などを利用したマクロファージの分化誘導法を発展させる。iPS 細胞から形成した iPS-sac をマクロファージに分化させ、サイトカイン放出実験を行う。サイトカイン放出の高感度検出系の樹立を試みる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
分担研究において、研究の進展に合わせて研究費を効果的・効率的に使用したため、平成25年度末に使い切ることができなかった。このため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、翌年度分として請求した助成金と合わせて、分担研究先において研究の進展に合わせて効果的・効率的に使用する。
|