研究課題
本年度は、細胞周期制御因子あるいはストレス応答性シグナルによるCYP3A4を含む薬物代謝関連遺伝子の発現調節機構の解析、及び細胞周期に影響を及ぼす化合物を用いたiPS細胞の肝分化誘導法の改良を行った。また、レポーター遺伝子安定発現iPS細胞(stable iPS細胞)の樹立に関する検討を行った。細胞周期とCYP3A4発現の関連性を明らかにするため、チミジンによるHepG2細胞の細胞周期の同調化を行った。その結果、G2/M期に細胞が同調化している場合、CYP3A4の発現量が上昇することを見出した。次に、G2/M arrestを起こす化合物RO-3306やPAH等を用いて検討した結果、CYP3A4の誘導が認められ、G2/Mチェックポイント関連因子の活性化が関与していることを見出した。また、CYP2D6やMRP3においても、細胞周期関連あるいはMAPK関連シグナルによる新規誘導機構も明らかにした。iPS細胞の肝分化誘導法の改良は、RO-3306及びチミジンを用いて行った。両化合物を種々の条件で処置した結果、RO-3306を分化誘導過程d15-d18及びd20-22に添加したところ、肝細胞の未成熟マーカーであるAFPの発現量の著しい低下が認められた。しかしながら、CYP3A4発現量の変化は確認できなかった。また、チミジンに関しては、d15-d17に添加することでCYP3A4発現量が上昇する傾向は認められたものの、その程度は小さく、またAFPの発現量に変化は認められなかった。stable iPS細胞の樹立に関しては、Gaussia及びCypridinaルシフェラーゼ遺伝子による検討を重ねてきたが、レポーター活性のバックグラウンドを抑えることができなかった。そこで、fireflyルシフェラーゼ遺伝子をベースとした方法に変更し、iPS細胞への導入条件等の検討を行った。
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