研究課題/領域番号 |
25460198
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 昭和薬科大学 |
研究代表者 |
清水 万紀子 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (90307075)
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研究分担者 |
山崎 浩史 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (30191274)
村山 典惠 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (90219949)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | フラビン含有酸素添加酵素3 / FMO3 / 薬物相互作用 |
研究概要 |
フラビン含有酸素添加酵素3 (FMO3) は、N-およびS-酸化反応を触媒する第一相薬物代謝酵素である。近年、FMO3が代謝消失にかかわる医薬品が報告あるいは上市されている。しかし、FMO3が関与する併用薬による薬物相互作用の詳細は明らかではない。一方、FMO3の酵素機能に影響を与えるアミノ酸置換を伴う遺伝子変異が国内外で報告されている。本研究では、FMO3の基質としてスリンダクスルフィドを用い、FMO3野生型およびp.[Glu158Lys;Glu308Gly]変異型酵素の酸化酵素活性に対して共存薬物の抑制作用を評価し、遺伝子多型の影響を調べることを目的とした。用いた酵素源は大腸菌発現系を用いて調製した野生型および変異型FMO3ならびに遺伝子型を判定した個別ヒト肝ミクロゾームとした。個別ヒト肝ミクロゾームまたは大腸菌膜に発現させたリコンビナントFMO3タンパク質のスリンダクスルフィドS-酸化酵素活性に対してメチマゾールの競合的な阻害が認められた。本反応の速度論的解析から、メチマゾールの阻害定数Ki値はスリンダクスルフィドのKm値よりも低値であった。医薬品の臨床血中濃度情報とこれらの結果を活用しメチマゾールの併用時のスリンダクスルフィド血中濃度-時間曲線下面積 (AUC) 上昇率を算出したところ、FMO3野生型に比較して変異型でAUC上昇率が高いことが予測された。以上、FMO3が関与するS-含有化合物の酸化的代謝に起因する薬物相互作用が予測され、p.[Glu158Lys;Glu308Gly]FMO3変異をもつ場合にその影響が大きいことが推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リコンビナントヒトFMO3酵素ならびにFMO3遺伝子変異をあらかじめ判定したヒト個別肝ミクロゾームを用いて併用薬物の酵素活性阻害定数 Ki値の算出を行い、薬物相互作用の可能性と遺伝子変異に伴う影響を推測できた。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトFMO3の基質となりうる医薬品および化学物質を引き続き検索する。日本人におけるFMO3酵素活性に影響を与える遺伝子変異の解明のため、ボランティアの尿中トリメチルアミン濃度を測定する。同意書上の特記事項を精査し、併用薬物等の尿中トリメチルアミンへの影響を検討する。さらに、医薬品開発において汎用されている実験動物であるサルおよびミニブタの肝ミクロゾームならびにリコンビナントFMO1およびFMO3酵素を用いて、ヒトFMO3酵素で検討した基質に対する酸素添加酵素活性および共存薬物による阻害作用を明らかにする。実験動物でもヒトと同様の薬物相互作用がin vitroで確認できるか比較する。
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次年度の研究費の使用計画 |
FMO3遺伝子型解析のためにシークエンスを予定していたが、次年度に行うこととした。 FMO3表現型解析および遺伝子型解析を進めるために、一般試薬、消耗品およびPCR用試薬ならびにDNAシークエンスが必要となる。サル肝ミクロゾームおよびリコンビナント酵素を使用したin vitroでの相互作用解析のため、一般試薬および消耗品が必要となる。研究成果発表のため、学会参加費、論文校閲費および研究成果投稿費が必要となる。 25年度に16,696円の残金が発生したので、26年度請求額と合わせて執行する。使用計画には特に影響はない。
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