研究課題/領域番号 |
25460202
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
濱田 哲暢 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 部門長 (00322313)
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研究分担者 |
田村 研治 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 科長 (60340783)
藤原 豊 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (70464261)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | クリゾチニブ / エリブリン / 薬物動態 / 薬理遺伝学的解析 / LC/MS/MS |
研究概要 |
日本人を対象とした新規抗悪性腫瘍薬の市販後臨床試験を計画し、実地医療においてALK融合遺伝子陽性非小細胞肺癌に適応を持つクリゾチニブならびに手術不能・再発乳癌に適応を持つエリブリンを投与される癌患者に対して薬物動態・薬理遺伝学的解析を行い、それぞれの薬剤の定常状態の薬物血中濃度および有害事象に関わる遺伝子多型を探索を目的とする。 (1)ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺癌患者を対象としたクリゾチニブの薬物動態および毒性と遺伝子多型解析の市販後臨床研究 クリゾチニブ250mg1日2回経口投与後の定常状態でのクリゾチニブおよび代謝物の血漿中濃度を測定する。投与量の調整は主治医判断で有害事象に合わせて随時変更しても良いとする。特に、副作用回避のため減量投与した症例の場合、血中濃度と副作用の程度の変化を詳細に観察するためのプロトコールの承認を受けて既に、半数の予定症例を集積済みである。また、薬物血中濃度は高速液体クロマトグラフィーにトリプル四重極システムの質量分析装置を連結したLC/MS/MS(API 5500, AB SCIEX)を用いて測定方法は確立し中間解析を行った。グレード3以上の毒性と血中濃度の相関が認められた。また、クリゾチニブの薬物代謝酵素と薬物輸送トランスポータの遺伝子多型を解析するための次世代シーケンサーを用いたプローブ設計も完了した。 (2)手術不能あるいは再発乳癌患者を対象としたエリブリンの薬物動態および毒性と遺伝子多型解析の市販後臨床研究 エリブリンメシル酸塩として1日1回1.4mg/m2(体表面積)を週に1回静脈内投与する。これを2週連続で行い、3週目は休薬とする。これを1サイクルとして投与を繰り返す。研究計画書は承認を受けているが症例の集積は目標の半数に留まっている。既に、薬物血中濃度の測定方法はLC/MS/MSを用いて確立し、分析バリデーションは完了している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
クリゾチニブ、エリブリンともにLC-MS/MSによる測定方法を構築済みであり、薬物代謝酵素と薬物輸送トランスポータの遺伝子多型を解析するための次世代シーケンサーを用いたプローブ設計も完了している。また、簡易的な測定を行うためのQuenching Probe法を利用した解析システム導入も準備することができた。クリゾチニブのプロジェクトでは、全国の呼吸器内科医の協力により順調に症例が集積されている。しかしながら、エリブリンのプロジェクトでは、頻回採血と入院が必要であるため、症例集積が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
クリゾチニブの定常状態の血中濃度、代謝物の生成比、遺伝子多型解析結果と有害事象の発現との相関を解析する。それらに対する内因性要因の臓器機能(肝機能・腎機能)の有無、併用薬、食事の影響などの外的要因も精査する。 エリブリン試験では、症例集積が遅い傾向になるため、分担研究者と検討の上、プロトコール変更を含めて検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
症例集積が遅れたため。 計画に従い症例を集積し、研究計画にしたがい検討をすすめる
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