研究実績の概要 |
平成25年度は 心臓集積性標識薬剤を用いて「心不全疾患の進行過程に伴う心臓エネルギー獲得機能の変化」に関する研究を行い"心機能評価法"を確立した。平成26年度は 上記"評価法"を用いて「心不全+心機能改善薬における心臓機能評価」を行い, 改善薬の薬効を評価した。平成27年度では "評価法"を「糖尿病における心臓機能評価」に応用し, 糖尿病により障害を受けた心臓機能を腎臓機能と対比させながら評価を行った。研究内容は以下のようである。 1.【標識薬剤、実験動物】(標識薬剤)標識脂肪酸:[I-131]9MPAおよび標識糖:[C-14]2DGを用いた。(実験動物)正常動物群:14-3-3トランスジェニックマウス(14-3-3系正常), 糖尿病動物群:正常群にストレプトゾトシン投与により作成(14-3-3 DM)。【操作】正常群, 糖尿病群に2種の標識薬剤を同時投与し, 目的時間経過後 心臓, 腎臓を摘出, 更に臓器含有の2核種([I-131]と[C-14])を半減期の差を利用した放射能分離計測を行い, 標識脂肪酸集積性および標識糖集積性を別々に算出した。更に糖尿病群における心臓(脂肪酸/糖)集積性をX軸に, 腎臓(脂肪酸/糖)集積性をY軸にプロットしたグラフを作成した。 2.【研究内容】本研究では糖尿病による腎臓および心臓への障害の影響を、両臓器の標識脂肪酸および標識糖の集積性を対比させることにより検討した。【結果、考察】(結果)標識脂肪酸の場合, 腎臓脂肪酸集積性(↓)に伴う心臓脂肪酸集積性(↓)より, 比較的良好な正の相関が見られ、一方 標識糖の場合, 腎臓糖集積性(↓)に伴う心臓糖集積(↑)より, 比較的良好な負の相関が見られた。(考察)糖尿病発症に伴い、脂肪酸集積性/糖集積性において腎臓機能および心臓機能に変化が見られ、両機能の変化の間に一定の関連性があることが示唆された。
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