研究課題/領域番号 |
25460207
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
小口 敏夫 山梨大学, 医学部附属病院, 教授 (30169255)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 地域連携 / 診療情報共有 / 電子お薬手帳 / 薬歴管理 / レセプトコンピュータ / データ抽出 |
研究概要 |
本研究は、インターネットを基盤とする地域医療通信ネットワークの新たな機能として、患者への投薬情報を共有化するプログラムを構築し、病院・診療所と地域の調剤薬局との連携強化を図るものである。現在、病院・診療所・患者間の診療情報共有化システムとして、山梨県では「慢性疾患診療支援システム」が稼働しているが、当該システムに連動する有用性の高い投薬情報モジュールを開発することにより、調剤薬局へシステムの利活用普及を図り、地域一体となって提供される医療の質の高度化を期することを目的としている。 平成25年度は、設計する投薬情報プログラムをより有用なシステムとするため、地域調剤薬局との協議を通じて、調剤薬局のニーズにあったシステムの仕様について検討を行った。山梨県薬剤師会会員を対象として、慢性疾患診療支援システムの概要を説明し、さらに本研究において構築を目指す投薬情報共有化プログラムのイメージを理解していただいた。そして、システム開発にあたって協力していただける保険調剤薬局薬剤師を募ったところ、7施設からの協力者が得られた。 それら調剤薬局薬剤師、および連携研究者、慢性疾患診療支援システム研究会会員、システムエンジニアが加わった会合を4回開催し、意見交換を行った。また、投与薬品データのシステム取り込み方式に関しては、その操作を簡素化するため、薬局のレセプトコンピュータ(レセコン)中の投与薬品データを、慢性疾患診療支援システムへ自動的に取り込む方法をとることにした。 各調剤薬局におけるレセコンからのデータ抽出に関してエンジニアに確認を依頼したところ、レセコンメーカーの仕様によって通信方法に差異があることから、個々の施設に出向いてデータ交信の整合をとる作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今後予想される地域医療での患者情報共有の重要性や、本システムの医療提供における重要性について再三説明を行ったにもかかわらず、調剤薬局あるいは山梨県薬剤師会にその意義や実際の業務における運用方法等の理解がなかなか得られず、システム開発に必要となる調剤薬局薬剤師の協力を得ることに難渋し、予想とは違っていたことは誤算であった。それでも、平成25年9月に内閣府が推進する「どこでもMY病院」の啓発事業が山梨でも開催され、それをきっかけに少しずつ状況が変わっていった印象がある。 また、レセコンからのデータ抽出は一律のプロトコールで実施可能と予想していたが、実際はメーカーによって異なる仕様のため、各々、対応が必要であることが判明した。 研究計画では、システムの開発依頼まで実施する予定であっが、上記の事情により進捗は予想以上に遅れている状況である。 なお、平成26年2月における山梨での未曾有の大雪は、病院業務に多大な混乱をもたらし、業務におけるその影響が年度末までに及んでしまったことも、本研究計画を遅らせる大きな要因であったことを申し添える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年5月、全国展開する某大手資本グループの調剤薬局部門が当システムに興味を持ち、コンタクトをとった。会社としても前向きに検討する方針であるとのことで、これからの検討会にも出席するつもりとのこと。他の調剤薬局にも刺激になることを期待している。 現在、本システムのプラットフォームやにプログラムに盛り込む機能について、調剤薬局が要望する事項を各施設が検討し、列記するよう依頼している。現在のところ、疾患を慢性疾患に限定せず、いわゆる「電子版お薬手帳」のイメージで利活用できるもの、また医療機関との情報伝達ツールとしての機能を持ったシステムが有用であるとの意見が一例として出されている。 調剤薬局からの意見を取りまとめ、プログラムとしての実施可能性(予算等を含め)をシステムエンジニアと検討し、仕様を決定したうえで、システム開発の発注に結び付ける予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
システム開発検討に必須となる調剤薬局からの協力者がなかなか得られなかったため、システムの開発にまで至らなかった。したがって、プログラム開発費用として計上していた費用を使用できなかったことから、経費は次年度に持ち越すこととした。 なお、調剤薬局レセコンからのデータ抽出機能の調整を行ったことから、当該費用は発生しているが、平成26年2月の大雪の影響もあり、システムエンジニア会社からの費用請求等は次年度分に含めて欲しいという要望があった。 本研究で計上している費用のほとんどは、投与薬剤の管理システムの開発費用であり、必要と判断されるシステム仕様やシステム開発進行状況に合わせて変更が必要となってくると予想される。 また、「患者のもつスマートフォンとの連動アプリ」の開発を望む声もあり、当該必要経費と交付額との関係にもよるが、その場合は開発費用の一部は平成27年度に持ち越す可能性も否めない。
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