研究課題/領域番号 |
25460208
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
伊藤 善規 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50159927)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 口内炎 / がん化学療法 / ポラプレジンク / トローチ |
研究概要 |
本年度において、ポラプレジンク/アルギン酸ナトリウムのトローチ剤(P-AGトローチ剤)の製剤化に取り組んだ。ポラプレジンク顆粒(プロマック顆粒15%、ゼリア新薬工業株式会社)にアルギン酸ナトリウム、マンニトール M100、セルロース UF-702、香料、スクラロース、アセスルファム、アスパルテームを添加し、打錠器を用いてトローチを成型した。硬度についてはポラプレジンク顆粒に種々の濃度のアルギン酸ナトリウムおよびセルロースを加えて検討した。現在、硬度面で未解決の部分を残した状況である。P-AGトローチ剤を用いた臨床研究については本院倫理審査委員会の承諾を既に取得。 一方、P-AG懸濁液の口内炎予防効果について、造血幹細胞移植前のconditioningとして、大量抗がん剤が投与される患者36名を対象としてP-AG懸濁液の口内炎予防効果をretrospectiveに評価した(P-AG投与群25名、非投与群11名)。評価の指標は、口内炎発現率を一次エンドポイントとし、さらに、口内炎による疼痛、口腔乾燥、味覚異常、鎮痛薬使用量、抗がん剤によるその他の副作用について、P-AG懸濁液投与患者と非投与患者間で比較した。さらに、抗がん剤ならびに移植の効果についても、移植骨髄細胞の生着率、生着までの期間、無再発率および全生存率についても調査した。口内炎発現率は、中等度(grade2)以上がP-AG非投与群で80%に対してP-AG群では20%、重症例(grade3)は非投与群の45%に対してP-AG投与群では0%であり、P-AGによる顕著な口内炎予防効果が見られた。また、P-AG群では疼痛頻度の低下、鎮痛薬使用量の減少、味覚異常や口腔乾燥の低下傾向も見られた。なお、その他の副作用発現頻度や細胞生着率、生存率は両群間で差がなかった。以上の結果については学会報告するとともに学術論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
製剤化していないポラプレジンク/アルギン酸Naの抗がん剤誘発口内炎に対する予防効果の評価については予定通りに進めることができたが、トローチ製剤化については硬度を保持するための添加物の条件が決定していないため、この製剤を用いた臨床研究の開始にはもう少し時間を要することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
臨床的に使用可能なポラプレジンク/アルギン酸Naのトローチ製剤の高度保持のための条件が決定した後、含量均一試験、安定性試験、崩壊試験、硬度試験を実施し、臨床試験に適用可能な製剤化に向けての最終試験を実施する。その後、放射線化学療法が行われる頭頸部癌入院患者、および移植前大量化学療法が行われる悪性リンパ腫ならびに白血病入院患者において、文書による説明と同意を得た後、口内炎予防効果の検証試験を行う予定である。なお、対照として、ポラプレジンク/アルギン酸Naを投与しなかった場合のデータ(negative control)およびポラプレジンク/アルギン酸Na懸濁液を使用した場合のデータ(positive control)として溯及的に調査し、トローチ剤の効果と比較する予定である。
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