本年度は、脳内自己刺激行動のRunway法におけるモデル動物の作成方法を指導し、手技の再確立を行った。 また、Runway法を用いた意欲関連行動におけるドパミン神経の関与を検討するため、D3受容体のドパミンD2/D3受容体刺激薬(D3>D2)であるプラミペキソールの作用を検討した。ドパミンD3受容体は薬物の抗うつ作用に関係があるとされ、さらに神経終末における細胞外ドパミン濃度を調節する作用が報告されている。検討を行った結果、プラミペキソールはRunwayの走行スピードを用量依存的に低下させることを明らかにした。これは、これまでに検討しているD1受容体刺激薬SKF38393およびドパミンD2/D3受容体刺激薬(D2>D3)であるquinpiroleと同様の結果である。つまり、作動薬を用いてドパミンD3受容体を選択的に刺激した場合、意欲が低下する可能性がある。 ドパミンおよびノルアドレナリン取り込み阻害薬であるノミフェンシンは、これまでに検討を行っている選択的ドパミン取り込み阻害薬GBR12909と同様にRunway法の意欲関連行動を促進した。 これまでの検討結果と考え合わせると、受容体の直接的刺激薬を用いてドパミン受容体を刺激した場合と、ドパミン取り込み阻害薬をもちいて、遊離された細胞外ドパミン濃度を上昇させた場合では、Runway法における意欲関連行動に対する作用が異なることが推察された。
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