本年度は、実験動物の飼育・実験を実施している岡山大学 動物資源部門の改修が行われたため、研究が実施できない期間があった。 また、改修の都合上、実験室が動物資源部門施設外に設置され、これまで無期限であった動物飼育期間が最大4週間に制限されることとなった。動物資源部門の改修後も、動物資源部門施設内のラットを用いた実験スペースが大幅に縮小される予定である。本実験に用いる大型の実験装置を設置できないことから、今後も部門施設外の実験室を確保し、飼育期限を設けられた状態で実験を継続する必要がある。本実験モデルの作成には電極挿入手術と回復期間、訓練期間などの準備期間を必要とするため、当初の計画を変更し研究を遂行した。 まず、新たな実験室に実験装置を移設したのち、脳内自己刺激行動および動機づけの指標となる動物の走行行動が問題なく獲得されることを確認した。本研究で動機づけの指標として評価しているRunway装置の走行行動は、通常、訓練を通じて獲得される。動機づけ行動を獲得(実行)したラットの脳神経に生じた構造上あるいは機能上の変化を明らかにすることは、動機づけに関わる脳神経系の解明に有用であると考えられる。そこで我々は、まず動機づけ行動の獲得および実行がラット脳神経細胞の細胞新生に与える影響について検討を行った。動機づけ行動の訓練開始直前に細胞新生の指標としてBromodeoxyuridine(BrdU)を200mg/kg腹腔内投与し、定められたスケジュールで5日間の動機づけ獲得訓練を実施したのち、ラットの脳組織を灌流固定により採取した。今後、得られた脳組織内でBrdUが集積している脳部位を明らかにすることで、動機づけに関わる神経メカニズム解明につなげる予定である。
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