研究課題/領域番号 |
25460219
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
工藤 賢三 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (30275531)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 可視光反応型光触媒 / 抗がん剤 / 被爆 |
研究概要 |
これまでに、紫外線を光源として反応する二酸化チタンを主体とする光触媒を用いて、抗がん剤の分解能を報告してきた。蛍光灯などの可視光にて反応する新たな可視光反応型光触媒の分解効果の評価を行った。 各種抗癌剤(シクロホスファミド、パクリタキセル、メトトレキサート、イリノテカン、シタラビン、5-フルオロウラシル)の水溶液をステンレス板(100cm2)に散布し、これにCu/WO3を含む可視光反応型光触媒溶液(0.075w/v%)を噴霧した。このステンレス板を蛍光灯下に12hr放置した。分解後、残留した抗癌剤を拭き取り回収し、HPLC法により定量した。 シクロホスファミドは、いずれの負荷量(500、1000および4000μg/100cm2)においても分解率は37.0~37.7%であった。パクリタキセルは、50、100および200μg/100cm2の負荷量において分解率は58.1~>99.0%であった。メトトレキサートは、いずれの負荷量(100、500、1000および2500μg/100cm2)においても分解率は45.1~57.1%であった。イリノテカンは、いずれの負荷量(100、400、1000および2000μg/100cm2)においても分解率は43.5~54.6%であった。シタラビンは、いずれの負荷量(10、50、100および500μg/100cm2)においても分解率は17.5~69.5%であった。5-フルオロウラシルは、50および100μg/100cm2の負荷量において分解率は20.4~36.3%であった。以上の結果から、可視光反応型光触媒は、通常の室内にある蛍光灯下においても一定の抗がん剤分解能を発揮することが認められた。(YAKUGAKUZASSHI in press)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各種抗がん剤を安全キャビネットに使用されているステンレス板に塗布若しくは滴下により負荷した後、可視光型光触媒液を噴霧し、蛍光灯下の可視光での分解能を検討する。また、近紫外線および可視光型光触媒にて抗がん剤分解が確認され、拭き取り回収した液は、変異原性試験キットを用い、変異原性の評価を行う。変異原性の確認には、抗がん剤の濃度、照射時間を変えながら確認、評価する。変異原性がなくなるまでの時間を検討、確認する。以上が、H25年度の研究実施計画であった。抗がん剤分解能の検討は行うことができ、雑誌に投稿することはできた。しかし、変異原性の評価に係る部分の研究にまでは時間を十分に取ることができず、研究の着手にいたらなかった。
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今後の研究の推進方策 |
可視光型光触媒にて抗がん剤分解能があることが確認された。今後は、変異原性の確認の研究を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
可視光反応型光触媒を利用した抗癌剤分解の検討は行い、学会発表、論文の投稿(in press)は終了している。研究予定である可視光反応型光触媒による抗がん剤分解物の変異原性の評価が行われていないことが、次年度使用額が生じた理由である。 H26年度は、研究予定である可視光反応型光触媒による抗がん剤分解物の変異原性の評価を実施することで繰越を使用する予定である。
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