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2014 年度 実施状況報告書

流産早産の予防治療を可能とする破綻した膣内細菌叢の再構築に向けた情報取得

研究課題

研究課題/領域番号 25460226
研究機関明治薬科大学

研究代表者

杉田 隆  明治薬科大学, 薬学部, 教授 (10312076)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード細菌性膣症 / Lactobacillus / Gardnerella
研究実績の概要

日本人女性の膣内の細菌叢をパイロシーケンス法により網羅的に解析した結果、日本人に優位なLactobacillus sp.1が存在することが示された。本年度は、細菌性膣症原因菌G. vaginalisとこのLactobacillus sp.1を用いて膣上皮細胞の沈静化を試みた。G. vaginalisをHela細胞とともに培養すると急速なG. vaginalisの増殖が確認された。G. vaginalisにLactobacillus sp.1を同時添加するとG. vaginalisの増殖が有意に抑制されたが、G. vaginalis定着後にLactobacillus sp.1を添加するとその作用は減弱した。さらに、Lactobacillus sp.1の培養上清にはG. vaginalisの増殖する作用があり、これは真菌Candida albicansの菌糸形成も抑制した。当該Lactobacillus sp.1はpH4.0まで培地を酸性化する能力があるが、他のLactobacillusではそこまでの作用は認められなかった。このことから、本研究で見いだしたLactobacillus sp.1はG. vaginalisによる炎症を沈静化させる能力を有することが示された。これは極力な酸性化能によると考えられた。また、このLactobacillusはデフェンシンを誘導し、炎症性サイトカイン産生の抑制した。以上、このLactobacillus sp.1は細菌性膣症の予防を目的としたプロバイオテックス療法の候補株となりえると考えらえた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請書に記載の通りおおむね順調に進行している。Lactobacillusの株差の実験が必要である。これにより本年度に得られた結果に普遍性をよりもたせ、強固なものとしたい。

今後の研究の推進方策

本年度の実験系について株差の有無が生じるかの検証を行なう。また、申請書通り平成27年度に予定していた臨床現場(ベッドサイド)で使用可能な細菌性膣症の迅速診断を目的とした検出キットをLAMP法を用いて行なう。迅速検出系の構築のために当該細菌のゲノム解析はすでに進行中である。

次年度使用額が生じた理由

計画はおおむね順調でありほぼ計画通り予算を執行した。若干の予算は次年度に株差に関する実験を追加するために必要と判断した。

次年度使用額の使用計画

株差に関する実験を追加するための経費に充てることとした。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 4件)

  • [雑誌論文] Molecular characterization of the skin fungal microbiome in patients with psoriasis2015

    • 著者名/発表者名
      Takemoto A, Cho O, Morohoshi Y, Sugita T, Muto M
    • 雑誌名

      J. Dermatol.

      巻: 42 ページ: 166-170

    • DOI

      10.1111/1346-8138.12739

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Genotype analyses of human commensal scalp fungi, Malassezia globosa, and Malassezia restricta on the scalps of patients with dandruff and healthy subjects2014

    • 著者名/発表者名
      Hiruma M, Cho O, Hiruma M, Kurakado S, Sugita T, Ikeda S
    • 雑誌名

      Mycopathologia

      巻: 77 ページ: 263-9

    • DOI

      10.1007/s11046-014-9748-2

    • 査読あり
  • [学会発表] 宇宙飛行士の皮膚微生物叢の解析とその制御法への展開2015

    • 著者名/発表者名
      杉田 隆
    • 学会等名
      第88回日本細菌学会総会
    • 発表場所
      岐阜
    • 年月日
      2015-03-26 – 2015-03-28
    • 招待講演
  • [学会発表] ケラチノサイトに対する皮膚常在微生物MalasseziaとStaphylococcus epidermidisの作用2015

    • 著者名/発表者名
      斉藤知慧、張 音実、杉田 隆
    • 学会等名
      日本薬学会第135年会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-03-25 – 2015-03-28
  • [学会発表] 正常妊婦の腔内細菌叢の網羅的解析2015

    • 著者名/発表者名
      杉田 隆、張 音実、倉門早苗
    • 学会等名
      日本薬学会第135年会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-03-25 – 2015-03-28
  • [学会発表] 真菌感染症の検査法と臨床、医学的重要な真菌の新しい命名2015

    • 著者名/発表者名
      杉田隆
    • 学会等名
      第26回日本臨床微生物学会総会•学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2015-01-31 – 2015-02-01
    • 招待講演
  • [学会発表] ビッグデータ時代に向けた次世代細菌学・真菌学研究」、皮膚および膣微生物叢の解析と疾患制御への応用2014

    • 著者名/発表者名
      杉田 隆、張 音美、倉門早苗、坪井良治、荻島大貴
    • 学会等名
      第97回日本細菌学会関東支部総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-11-30 – 2014-12-01
    • 招待講演
  • [学会発表] ゲノム解析から見えてきたマラセチアの病原因子2014

    • 著者名/発表者名
      杉田 隆
    • 学会等名
      第58回日本医真菌学会総会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2014-11-01 – 2014-11-02
    • 招待講演
  • [学会発表] 妊娠中の膣内細菌叢の次世代シーケンサーを用いた解析2014

    • 著者名/発表者名
      藤岡志水、荻島大貴、村田佳菜子、佐野靖子、佐藤杏奈、松岡祐子、坂本昇子、田中里美、矢田昌太郎、管直子、杉田隆
    • 学会等名
      第50回日本周産期•新生児医学会総会
    • 発表場所
      浦安
    • 年月日
      2014-07-13 – 2014-07-15

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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