研究課題/領域番号 |
25460237
|
研究機関 | 九州保健福祉大学 |
研究代表者 |
河内 明夫 九州保健福祉大学, 薬学部, 准教授 (80389593)
|
研究分担者 |
佐藤 圭創 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (00315293)
向井 恵利紗 九州保健福祉大学, 薬学部, 助手 (20538657)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | POCT / 地域薬局 / 薬剤師 |
研究実績の概要 |
「医師の代役としてケアにあたるPOCT機器を用いた新たな地域薬局薬剤師業務の構築」に関する研究を行うにあたって、①薬局POCT検査の導入による薬効評価と副作用モニタリングは可能か、 ②薬局POCT検査に伴う薬剤師の指導内容によってどのような成果がみられるか、③薬局POCT検査がこれまでの薬局の機能・役割にどのような変化をもたらすのか、を明らかとしたい。 ①②については本研究開始(平成24年9月)から平成27年3月までに収集したサポート事例、受診勧奨事例等の解析を行っている(全421名)。平成26年8月までのデータに基づき、第47回日本薬剤師会学術大会(2014.10、山形)にて、「薬局POCT検査と生活習慣病指導支援ソフト“健康みらい予報”の組み合わせによる生活習慣改善・服薬支援活動の試み」として、薬剤師による指導内容について分類し、どのような服薬指導が可能かを報告した。第76回九州山口薬学大会(2014.11、長崎)において、「薬局における超音波骨密度測定の実施とその有用性」、「薬局POCT継続実施が糖尿病患者の血糖コントロール維持に寄与した一症例」、「薬局におけるPOCT機器を用いたPT-INR管理の現状と課題」として、骨密度利用による受診勧奨、HbA1c継続測定によって有用性を示した症例、またPT-INRに関する現在の薬剤師意識について報告した。現在、地域住民の医療ニーズを検証するとともに、薬局におけるPOCT検査の有用性を探るため、対応後の経過について検証を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
宮崎県日向市の富高薬局A店薬局内検査ブースにて薬局POCTを毎週金曜日午後2時から5時までの実施に加え、平成26年9月より宮崎市のまなべる薬局においても本研究をスタートさせ、データ数の増加を試みている。薬局POCT実施は平成25年度56回、平成26年度55回を達成し、平成23年9月開始から平成26年3月まで182回継続的に実施できた。登録管理している研究参加者は421名であり、リピーター数が増加している。本研究開始から平成26年8月までに収集したサポート事例、受診勧奨事例等を解析した結果を第47回日本薬剤師会学術大会(2014.10、山形)にて報告し、骨密度利用による受診勧奨、HbA1c継続測定によって有用性を示した症例、またPT-INRに関する現在の薬剤師意識を第76回九州山口薬学大会(2014.11、長崎)にて報告した。また、大分県大分市薬剤師会生涯学習研修会において、薬局薬剤師を対象に薬局が糖尿病等の簡易測定が可能になったことに合わせ、本研究内容の一部を紹介することで、薬剤師生涯研修に役立てることができた。これらのことから、本研究はおおむね順調に進んでいると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度に引き続き、宮崎県日向市富高薬局A店及び宮崎市まなべる薬局の利用者を対象とした薬剤師による「薬局POCT」ならびに健康相談を実施し、服薬指導を中心に据えた薬学的アプローチで地域住民に医療サポートを行う。また、血圧計、パルスオキシメーター等の非侵襲的ポータブル計測機器や血清脂質・血糖簡易式迅速測定装置、HbA1c測定装置、超音波骨量測定装置等を用いたPOCT検査(簡易迅速検査)実施により、疾患の早期発見、治療効果や副作用のモニタリングを行い、検査結果に基づいた医薬品適正使用や生活指導等を行うこととする。加えて薬局でのインフルエンザ感染検査機器(富士フィルム)の購入し、インフルエンザ流行シーズンに向けて準備は整った。今後地域医療機関への集中回避や利便性について調査予定である。これらの健康相談・サポート事例、及び専門医への受診勧奨事例データ等の解析を進め、POCT機器を用いた新たな地域薬局薬剤師業務の有用性や地域住民の医療ニーズを検証したいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度科研費の残高が少額となっていたため、次年度科研費と合わせて有効活用をするために繰り越しとした。
|
次年度使用額の使用計画 |
薬局POCT検査実施にあたって、生活習慣病に関するHbA1c、血糖、血清脂質の測定が今後多くなることがこれまでの実施状況から予測されるため、引き続き検査キット等の購入費用を計上するとともに、インフルエンザ感染検査カセットも計上する。また、健康相談への対応に必要な在宅医療・セルフメディケーション関連書籍を購入する。第48回日本薬剤師会学術大会(2015.11、鹿児島)にて研究成果の発表を予定しており、その学会旅費を計上する。平成26年度に引き続き、薬局訪問用旅費(燃料費/1回訪問につき約50 km走行概算)を計上する。また、論文請求・投稿料のための経費も計上する。
|