薬局POCT検査の導入による薬効評価、これに伴う薬剤師の指導内容によってどのような成果がみられ、そして薬局POCT検査が薬局の機能・役割にどのような変化をもたらすのか研究を行った。 本研究開始(平成24年9月)から平成28年3月までに収集したサポート事例、受診勧奨事例等の解析は全523名となった。第48回日本薬剤師会学術大会(2015.3、鹿児島)にて、「薬局でのHbA1c測定が地域住民の血糖コントロールに及ぼす影響」として、これまでに収集した事例や症例から、薬局POCT実施により地域住民のHbA1c値にどのような影響を及ぼすか検討した。結果として、複数回測定後のHbA1c値低下(ΔHbA1c)は初回測定時HbA1c6.5%≦の対象者のうち、non-DM群のΔHbA1cは 0.25低下であったのに対し、DM群では0.35低下していた。これらのことから薬局POCTとしてのHbA1c測定は、DM群の血糖コントロールに好影響を与え、またNon-DM群の“糖尿病型”該当者及び予備軍に対しても正常化に役立つ可能性が示唆され、本学会にて優秀発表賞をいただくことができた。加えて、同学会において「ヘルスリテラシーに基づくPOCT測定健康イベントの有用性評価」、「行政及び大学協働によるHbA1c・脂質測定を組み合わせた糖尿病予防啓発公民館出張講義の実施とその効果」、「薬学教育への“薬局POCT”実習の導入とその効果」についても合わせて報告した。薬局POCTは薬剤師にとって、患者・地域住民自身の健康に対する自覚を促し、服薬コンプライアンスの向上、生活習慣改善への健康意識向上、受診勧奨の強化に貢献できるツールとなるものと期待される。
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