研究課題
1) 各々の眼疾患患者に対する眼房水中診断法の妥当性の検証のために、眼房水中に含まれる主な内因性物質の影響を調べた。眼房水中アルブミンの各結合サイトへの阻害は、眼房水中に多量に含まれるアスコルビン酸、ブドウ糖、乳酸による影響はかなり小さく、遊離脂肪酸(遊離脂肪酸はアスコルビン酸、ブドウ糖、乳酸の濃度に比べかなり眼房水中濃度は低い)による影響が大きいことが判明した(特にアルブミンのサイトⅡ)。したがって、眼房水中のアルブミン濃度と遊離脂肪酸濃度の割合だけで、アルブミンのサイトⅠとⅡ阻害の程度(特にアルブミンのサイトⅡ)が推測できることが判明した。2) 眼房水中アルブミンサイトⅡへの結合性の高い点眼薬物の投与設計確立のための結合阻害の検討を行った。その結果より、臨床で結合阻害剤として使用できる薬物としてはフルルビプロフェン、イブプロフェン、6-methoxy-2-naphthylacetic acid(6MNA)およびナイキサン、内因性物質としては遊離脂肪酸、健康食品としてはお茶成分の可能性が高いと考えられた。その中で、最も効果的なのは遊離脂肪酸であり、特に中鎖脂肪酸であるカプリン酸やカプリル酸の阻害は生体内で代表的な長鎖脂肪酸であるオレイン酸やパルミチン酸やステアリン酸より大きかった。以上より、眼房水中の微環境はアルブミン濃度と遊離脂肪酸濃度から推察することが重要であり、アルブミンサイトⅡ結合への強い点眼薬にはそれを強く阻害できる中鎖脂肪酸を併用点眼できれば効果を増強できるかもしれない。
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European Journal of Drug Metabolism and Pharmacokinetics
巻: 41 ページ: 179-186
10.1007/s13318-014-0248-z
http://profile.jei.ac.jp:81/public/v2kgr/jpn/ResearcherInformation/ResearcherInformation.aspx?KYCD=103031