DLG1は、細胞内で各種蛋白質を細胞膜近傍に係留する足場として働く足場蛋白質である。Dlg1遺伝子欠損マウスは、様々な器官に発生異常をきたす。そこで、発生途上の器官におけるDLG1の機能を明らかにするため、心臓流出路と内耳コルチ器の発生過程を検証した。その結果、DLG1欠損マウスの心臓では、将来の肺動脈・大動脈となる総動脈幹の伸長が不十分であり、二次心臓領域と呼ばれる心臓外領域の細胞移動能の異常が示唆された。またコルチ器では、組織の伸長に伴う細胞間接着面の再編成とそれに伴う細胞の並び替えの異常が見られた。以上の結果から、DLG1は、組織の伸長に必要な細胞運動を制御することが判明した。
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