研究課題/領域番号 |
25460243
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
橋本 龍樹 島根大学, 医学部, 教授 (90252907)
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研究分担者 |
大谷 浩 島根大学, 医学部, 教授 (20160533)
井上 隆之 島根大学, 医学部, 助教 (50581386) [辞退]
松本 暁洋 島根大学, 医学部, 助教 (70346378)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 中枢神経系 / マイクロRNA / 組織形成 |
研究実績の概要 |
平成25年度の結果より、マウス胎仔大脳の胎齢妊娠12日(E12)からE15において、発現量が最も増加したマイクロRNAは、let7b-5pであり、最も減少したマイクロRNAはmiR409-3pであった。その結果を元に、本年度は、これらのマイクロRNAがどのような働きをしているかその機能について解析する目的で、二重鎖RNA(dsRNA)を作製し、それをマウス胎仔の脳室へ注入することによって、大脳皮質の組織形成過程においてRNA干渉によって発生する形態学的変化を解析した。まず、発現量が最も増加したマイクロRNAlet7b-5pの配列のdsRNAを作製した。dsRNAが取り込まれた細胞を特定するために端末を蛍光物質によって標識した。細胞が取り込み効率を上げるためにHVJ envelop(石原産業社製)を用い、エレクトロポレーション法を用いた。子宮内胎仔注入法を用いて、E12のマウス胎仔脳室へ1 g/lの濃度の懸濁液を1 l注入した。注入後に電気刺激を行った。対照実験として影響を与えないことが確かめられているシグマ社製コントロールdsRNA (SIC-100)を脳室内へ注入し、同様に電気刺激を与えた。その結果、E12のマウス胎仔脳室へコントロールdsRNAを注入した胎仔は生存するが、let7b-5pのdsRNAを注入した胎仔は注入後1日以上生存しなかった。このため、E13のマウス胎仔脳室へ注入を行い、E15に帝王切開にて母獣より胎仔を取り出し、処置による胎仔の死亡はなかった。また、E15胎仔の大脳の大きさと重さには明らかな差は認めなかった。しかし、側脳室の周囲に不整を認め、へこんでいる部位にlet7b-5pのdsRNAを取り込んだ細胞を認め、その細胞周囲の大脳皮質の細胞配列に他の部位との違いを認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
子宮内胎仔注入法を用いて、let7b-5p のdsRNAをE13マウス胎仔の脳室内へ注入した胎仔を得る技術がほぼ確立した。平成26年度の研究によって、dsRNAマウス胎仔脳室へ注入する技術が確立した。以上の理由より、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度には、平成26年度に確立した技術により、保護確実にE15以降の発生過程にある胎仔の大脳を形態学的に解析することができ、組織形成におけるにlet7b-5pの役割を検討する。26年度同様の人員で研究が遂行できると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の1人が平成25年に休職していたため、繰越金が生じていたが、平成26年にその繰越金と分担金を含めた金額の全額を支出することができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度が最終年度であるため、本研究のために全額支出する予定である。
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