研究課題/領域番号 |
25460244
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小久保 博樹 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 講師 (10270480)
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研究分担者 |
吉栖 正生 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (20282626)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 心筋 |
研究概要 |
本研究では、左心室を構成する新奇の心臓領域を同定し、この細胞群の性状を明らかにすることによって心臓構築の原理の理解を深めるとともに、この細胞群を細胞供給源とした心筋組織を人工的に構築し、心筋梗塞モデルの梗塞巣に移植することでこの細胞群の有用性を検討し、心筋組織再生という医療技術の発展につなげることを目的として研究を進めている。 これまでに、Creマウスを用いた発現細胞の系譜解析を行い、Creを発現した細胞が心臓のどの領域に寄与し、どういった細胞に分化していくのかを検討した。左心室以外の心臓領域に寄与し、心筋、線維性細胞、刺激伝導系、冠動脈平滑筋、静脈洞を構成する細胞に分化することが明らかとなった。 次に、この遺伝子を発現している細胞を選択・回収し、未分化状態を維持しながら増殖させる培養系の確立を試みた。E9.5日胚より、心臓に未だ寄与していないVenus陽性細胞を単離し培養すると、2日後には拍動を開始することを確認した。このことは、Venus陽性細胞が、心筋の前駆細胞であることを意味する。この因子を添加した場合に、分化抑制傾向が見られるが、まだ安定して抑制させるには至っていない。さらなる条件検討を行っている。 さらに、未分化性維持に対する本因子としての機能について検討した。心筋細胞分化重要な役割を示すWntシグナルに対して、抑制作用を持つことが示された。本因子はWntシグナル抑制して未分化性を維持している可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Ert2Creを挿入したマウスが完成していないため、時系列を追った細胞のlinage mapマップを作成することはできていない。そのマウスの作製を急いでいる。また、この遺伝子を発現している細胞を選択・回収し、未分化状態を維持しながら増殖させる培養系については、まだ安定して抑制させるには至っていない。さらなる条件検討を必要とする。この培養系の確立を持って、心筋梗塞巣へ移植するための組織の供給源としての有用性を検討するため、急ぎたいと考えている。未分化性維持に対するWntシグナル阻害機能の解析は、おおむね順調にきている。
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今後の研究の推進方策 |
Ert2Creが完成した後、時系列を追った細胞のlinage mapを作成する。いつの時期のこの遺伝子を発現した細胞がどの心臓領域のどういった細胞へと分化するのかを明らかにする。 次に、本遺伝子を発現している細胞を選択・回収し、未分化状態を維持しながら増殖させる培養系を早急に確立する。さらなる条件検討によって、未分化細胞を回収することは可能となると考えている。この培養系の確立を待って、心筋梗塞巣へ移植するための組織の供給源としての有用性を検討する。まず、シート状にするなどして、心筋梗塞巣へ貼付し、その生着するかどうかを検討する。胚発生段階にある心筋へと分化する前駆細胞を移植片として用いることによって、この細胞移植片由来の細胞が生着することが期待される。 さらに、本因子の未分化性維持に対するWntの阻害以外の効果を検討する。
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