研究課題/領域番号 |
25460252
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 滋 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70306108)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 感覚器形成 / エンハンサー / 遺伝子改変マウス / ニワトリ胚 / ホメオボックス遺伝子 / 比較ゲノム / Six1遺伝子 / 感覚器プラコード |
研究概要 |
i)Six1標的遺伝子同定によるPPRを規定する分子基盤の解明 ステージ5-7の多数のニワトリ胚から前端部を除くPPRを切り出し、ホルムアルデヒドによるクロスリンクを行い、-80度で保存した。ChIPでのソニケーションと磁気ビーズの洗浄条件の検討を行い、抗ニワトリSix1抗体および抗H3K27ac抗体を用いてChIPを行うための準備が整った。 ii)PPR/プラコードの頭頸部形成における機能の解析 アフリカツメガエルのSix1-14エンハンサー(XSix1-14)がマウスやニワトリの配列に比べ、ニワトリ胚のPPRにおいて非常に強いエンハンサー活性を示すことがわかった。XSix1-14の重要な特徴は、後方のPPRにおいても転写を活性化できること、また、4個並べた場合でも、神経板前端部での活性がほとんど見られないことであった。そこで、1、2、4個のXSix1-14の下流にレポーター遺伝子としてLacZを繋げ、両端にインスレーターを付加した3種類のトランスジーンを作製し、理研CDBの協力でマウス受精卵へのインジェクションを行った。その結果、XSix1-14は期待通り、より後方のPPRでも転写を活性化することがわかった。しかし、その活性はさらに後方の神経板境界部(神経堤)まで続く場合があること、XSix1-14にも内胚葉でのエンハンサー活性があること、4個並べた場合には神経板の前端部での活性が出現することがわかった。LacZを発現するトランスジェニック胚の数が少なかったため、現在追加のインジェクションに向け新たにDNAの調製を行っている。cre発現マウスの作製は、Hprt遺伝子座へのcre/ERT2発現ユニットのノックインという方法を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
i)Six1標的遺伝子同定によるPPRを規定する分子基盤の解明 条件検討に時間がかかってしまったた。 ii)PPR/プラコードの頭頸部形成における機能の解析 マウスまたはニワトリ由来のSix1-14エンハンサーの改変により、特異性を高めたPPRエンハンサーの作出を目指し、準備を進めていた。たまたま試したアフリカツメガエルのSix1-14(XSix1-14)がマウスとニワトリ配列に比べ、優れた特徴を持っていたので、種々のレポーターを繋げたコンストラクト作製をやり直すことになった。ニワトリ胚での活性を調べ、現在はマウス胚での活性について検討中である。XSix1-14を使うことで、より質の高いデータが得られるものと期待している。
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今後の研究の推進方策 |
アフリカツメガエルのSix1-14(XSix1-14)はマウスやニワトリ配列に比べ優れた特徴を持ち、マウス胚においてより広範なPPRを標識することができそうである。ただし、神経堤へのエンハンサー活性の拡大、内胚葉さらには心臓中胚葉におけるエンハンサー活性も保持している可能性があるので(マウスとニワトリ配列も同様)、1または2個のXSix1-14の下流にLacZを繋げたコンストラクトを用い、マウス胚での転写活性の検討を続ける。もし必要な場合には、欠失や点変異を導入し、XSix1-14の改変を試みる。PPR特異的かつ、広い範囲のPPRで転写を活性化できるエンハンサーの使用は本研究の要であるため、他の四肢動物(スッポン、ニシキヘビ)由来のSix1-14についてもニワトリ胚での活性は調べた方が良いかもしれない。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究がやや遅れているため、ChIP-seqと遺伝子改変マウス作製費用を次年度に支払うことになったため。 ChIP-seqとデータの解析、遺伝子改変マウス作製を計画通りに行い、それらの支払いに使用したい。
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